不動産の相続税の計算方法は?相続税を抑える方法も解説!
2021.10.24
こんにちは!不動産売買をサポートする八城地建の岩瀬です。
不動産を相続することになると発生する「相続税」について、みなさんはどれぐらいご存知でしょうか。
相続税と聞くと、なんとなくお金持ちだけが心配するものというイメージが強く、自分にはあまり関係ないと思われるかもしれませんね。
しかし、2015年に行われた法改正によって、相続税が必要か必要ではないかの判断基準が大幅に引き下げられたのです。
その結果、相続税を負担しなければならない人も増加しています。
今回は不動産に関する相続税について、相続税はいくらぐらいなのかや計算方法などを踏まえ、相続税を抑えるための方法もご紹介します。
不動産相続で相続税がかからない場合もある!
財産を所有している親族が亡くなった場合、相続する不動産などの遺産に課せられる税金が「相続税」です。
法改正に伴い、相続税を支払わなければならない対象者は増加しました。
しかし、状況によっては不動産相続をおこなっても、相続税が発生しないケースもあるのです。
どのような条件下になれば不動産を相続しても相続税が発生しなくなるのでしょう。
遺産総額が基礎控除を超える場合は相続税がかからない
相続税は、相続することとなった遺産すべてに発生するのではありません。
遺産すべての総額が基礎控除額以下、もしくは基礎控除額の範囲内であれば、相続税がかからないどころか、相続税の申告すら必要ありません。
相続することになった遺産の総額が、基礎控除額を超える場合にのみ課税される決まりになっているのです。
ちなみに、基礎控除額は【 3,000万円 + 法定相続人の数 × 600万円】の計算で出します。
たとえば、法定相続人が2人なら4,200万円になり、相続財産の合計が4,200万円以内であれば、相続税を払わなくて済みます。
相続税の「配偶者控除」にも相続税はかからない
相続税がかからないケースにはもう1パターンあり、こちらは配偶者控除が関係します。
亡くなった人の配偶者が、亡くなった人の全財産を相続する場合に当てはまります。
このような制度を「配偶者控除」と呼び、相続税が軽減する優遇措置として受けられるのです。
配偶者控除とは簡単に説明すると、亡くなった人の遺産を配偶者が相続することになったとき、相続する財産総額が1億6千万円以下であれば一切課税されないという制度です。
配偶者控除における計算は、きちんと説明するとかなり複雑になります。
ひとまず基本として、遺産相続する不動産が1億6千万円を超えるような高額な遺産相続とならない限り、相続税は発生しないと覚えておくといいでしょう。
ただし注意しなければならないこととして、配偶者控除の適用を受けるためには相続税の申告書の提出が必要になります。
先でお話ししたように、遺産総額が基礎控除を超え、相続税がかからない・申告義務すらない場合でも同様です。
不動産相続での相続税の計算方法をチェック
残された不動産を相続する場合、いくら相続税が課税されるかは、定められた計算式にもとづいて算出することができます。
それでははじめに、相続税の計算式からご紹介しましょう。
相続税額=(すべての相続財産額−基礎控除額)×相続税率
上記のような計算式に基づき、相続税を算出します。
相続するすべての財産額より基礎控除が上回れば、相続税率をいくらかけても0になるため、相続税はかかりません。
相続税を算出するには「土地」「家屋」それぞれの評価額が必要になる
相続税を算出するためには、土地と建物それぞれの正確な相続評価額を算出しなければならなりません。
不動産の相続において土地と建物は別々に評価されるため、それぞれの計算式や計算方法や両方の評価額をよく理解し、確認しておきましょう。
家屋の評価額の算出方法
家屋については、基本的な評価の方法が定められています。
また、家屋が「建築中」か「賃貸で貸出中」かなど、条件によって補正がかけられるケースもあります。
■建築が終了している家屋の場合
基本として、固定資産課税台帳に記載されている「固定資産税評価額」をもとに評価をします。
通常は建築にかかった費用から50~60%の評価になることが多いです。
■建築中の家屋の場合
建築が完了していない家屋の場合、家屋そのものに固定資産税評価額が定められておらず、評価の方法が異なってきます。
総工費に進捗状況を掛けた「費用原価」を使い、費用現価×70%の式をもって評価額を算出します。
総工費5,000万円の家屋として、進捗率が50%と10%の場合で費用現価を計算すると以下のような金額になります。
【進捗率50%】
5,000万×50%=2,500万円
【進捗率10%】
5,000万×10%=500万円
ここに先ほどご紹介した、「建築途中の家屋の評価額」を当てはめてると評価額が算出されます。
【進捗率50%】
2,500万×70%=1,750万円(評価額)
【進捗率10%】
500万円×70%=350万円(評価額)
■賃貸にしている家屋の場合
相続対象となる不動産が第三者に賃貸しているような「投資不動産」の場合は、建物に対する評価額から30%控除します。
この30%の数字のことを「借家権割合」と呼びます。
計算方法としては先ほどご紹介した、それぞれの家屋の評価額から差し引くことで、最終的な評価額が算出できるでしょう。
土地の評価額の算出方法
土地の評価額を算出するには、以下の2通りの算出方法があります。
- 路線価方式
- 倍率方式
算出方法はどちらでもいいというわけではありません。
路線価値が決まっているエリアでは「路線価値方式」を、路線価値が決まっていないエリアなら「倍率方式」を使用します。
■路線価方式
市街地にある土地のような、土地に面している道路に定められている価値を指します。
路線価値方式を使用するときは、定められた路線価をベースに、特殊な宅地に対する補正を行い、その上で土地の評価額を算出します。
以下の式を用いて算出します。
土地の評価額=路線価×面積×補正率
特殊な宅地とは以下のような状況があげられます。
- 間口が小さい
- 奥行きが長くて大きい
- 整形されていない宅地
- 私道に隣接している
- 建築基準法に基づき建築物を後退させなければならない
- 土地の価値が低下している(騒音や日照不足、異臭など)
■倍率方式
路線価が定められていない地域の土地では、固定資産税評価額に一定の倍率を掛けて計算した金額で評価します。
倍率方式では以下の式を使用します。
土地の評価額=固定資産税評価額×国税局長が地域ごとに定める倍率
ちなみに「固定資産税評価額」は3年ごと、「国税局長が地域ごとに定める倍率」は毎年改定されます。
不動産相続での相続税を抑える方法もある?
相続することになった不動産などの評価額が高額になると、課税される金額もアップします。
遺産相続に対する相続税が発生した場合でも、やり方次第では課税額の大幅な軽減が可能です。
少しでも節税をするためにも、さまざまな控除や特例を利用していきましょう。
不動産の相続税を抑える6つの控除
相続税の金額を少しでも軽減させるためには、控除が利用できないか確認してみましょう。
続税に関する控除は以下のとおりです。
1. 基礎控除
相続の内容に関わらず節税に高価が期待できるものとして「基礎控除」があげられます。
基礎控除は以下の方法で算出します。
相続税の基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の人数)
法定相続人が3人とすると、3000万円+(600万円×3人)で、基礎控除額は4,800万円になります。
2. 贈与税額控除
相続が発生した時点からさかのぼり、3年以内に亡くなった「被相続人」から贈与財産を受け取った人が利用できる控除です。
3年以内の贈与財産は相続税の非課税となるため、二重に課税されることを防ぐ目的で作られました。
贈与税額控除を利用すれば、相続税から贈与されたときに収めた贈与税額を差し引けます。
贈与されたにもかかわらず贈与税を支払っていない場合は、適用不可となります。
3. 配偶者控除
「不動産相続で相続税がかからない場合もある!」の項目で登場した「配偶者控除」も、相続税に軽減に効果が期待できます。
この制度は、もともと残された配偶者の負担を軽減させるために作られた制度です。
配偶者が相続をする場合のみ、1億6千万円もしくは法定相続分のどちらか高い金額までが非課税になります。
4. 未成年者控除
法定相続する人が満20歳未満の未成年の場合、「未成年者控除」の適用が可能です。
相続人となる未成年者が、満20歳を迎える成人になるまでの間、1年につき10万円控除されます。
5. 障害者控除
85歳未満の相続人が、障害を持っている場合は「障害者控除」が適用され一定の額を相続税から控除できます。
控除される金額は一般障害者か特別障害者で異なり、障害の程度によって判断されます。
ベースとなる計算式は以下のとおりです。
・一般障害者の控除額
満85歳になるまでの年数×10万円
・特別障害者の控除額
満85歳になるまでの年数×20万円
6. 相次相続控除
一次相続と二次相続が10年以内に起こった場合、「相次相続控除」が適用されます。
相次相続控除は、10年以内という短いスパンで相続税がかかることを避けるために作られた控除です。
1回目に収めた相続税の10%の割合で減額された金額を、2回目に課せられる相続税から控除します。
一次相続と二次相続の期間が短ければ短いほど控除額は大きくなります。
不動産の相続税を抑える「小規模住宅地等の特例」もある
控除以外に「小規模住宅地等の特例」利用できるケースもあります。
亡くなった人の自宅・店舗・事業所や、事業用に使用されていた宅地に対し、評価額を減額できる制度です。
居住用と事業用の宅地は80%、事業用として第三者に貸し付けている土地は50%まで評価額を減額可能です。
相続する人の要件や、不動産の面積に対する上限はありますが、うまく利用できれば大幅な節税が期待できるでしょう。
不動産の相続税の計算方法や控除などは事前の確認が重要
法改正により相続税の判断基準が下がり、相続税が発生する義務を果たさなければならない人が増えました。
だからこそ、将来的に不動産相続の可能性がある人は、万が一に備えて相続税に関する知識をもっておくと、今後の安心材料につながるでしょう。
どのような状況なら相続税はかからないのかや、相続税の計算方法、受けられる控除や特例など、知っておきたい情報はたくさんあります。
わかりにくい計算や用語もたくさん出てきますので、早い段階からじっくりと調べておくことが大切です。
不動産などの遺産を相続することで不利益を被ることがないように、しっかりと勉強しておくことをオススメします。
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