古家付き土地・更地渡し、それぞれのメリット・デメリットとは?
2022.03.16
こんにちは!不動産売買をサポートする八城地建の宮下です。
相続などで古家を売却する場合、家を残したまま売却したほうが良いのか、建物は解体して更地で売却したほうが良いのか、迷う方が非常に多いです。
今回は、古家付きで売却する場合と更地で売却する場合、両パターンのメリット・デメリットを解説します。
古家を売ろうと考えている方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
古家付き土地とは?メリット・デメリットを知ろう
古家付き土地とは、その名の通り古い家が建っている土地のことをいいます。
建物自体に資産価値がない古家の場合に、土地のみの価格として売る方法です。
「中古住宅」と何が違うの?と疑問を持つ人も多いかと思いますが、その違いは実は明確にあるわけではありません。
木造建築の場合、以前は法定耐用年数を超える築20年以上の物件であれば古家付き土地として売り出されることが多かったのですが、最近ではリフォームをして住み続けるケースもあります。
しかし、あくまでも目安で、どのような方法で売り出すかは売主の意向や建物の状態によって決定します。
古家付き土地として売却するメリット
古家付き土地として売却するメリットを見ていきましょう。
メリット①解体費用がかからない
売主にとって一番のメリットは、建物の解体費用がかからないことでしょう。
一般的に物件の解体費は坪単価5万円前後が相場とされているため、一戸建を解体する場合、150〜300万円ほどかかる計算になります(実際には建物以外にも塀や植栽、庭石などの処分費用もプラスされるケースもあります)。
解体費用が発生しない分、売却経費が少なく済みます。
メリット②固定資産税が安くなる
古家付きの土地の方が固定資産税が安く済むという点もメリットです。
物件が建っている土地の場合、「住宅用地の軽減措置特例」が適用されます。
これによって固定資産税は、敷地面積の200平米までの部分については6分の1、200平米超までの部分については3分の1となります。
固定資産税が安くなることで、時間をかけてゆっくりと売却活動を進めることができますよ。
古家付き土地として売却するデメリット
一方、古家付きで売却する場合にはデメリットも存在します。
デメリット①なかなか買ってもらえない
建物があまりにも古く老朽化している場合には、リフォーム費用が著しくかかったり、家を探している人の好みに合わなかったりといった理由で、なかなか買ってもらえない可能性があります。
新築を建てる予定で土地を探している人にとっては、買主側に解体費用がかかることがデメリットとなり、敬遠されがちです。
デメリット②予定していた売却価格より安くなる可能性がある
古家付き土地を売却した場合、売却後の解体費用やリノベーション費用は買主が負担することになります。
そのため、それらを見込んだ売却価格が求められたり、解体費用分の値引きを交渉されたりする恐れがあり、想定していたよりも売却価格が安くなってしまうこともあるでしょう。
更地渡しとは?メリット・デメリットを解説
更地渡しとは、建っている物件を取り壊してから、土地のみで売却する売り方です。
古家付き土地としての売却か更地渡しかで迷う方は、こちらのメリット・デメリットもチェックしておきましょう。
更地渡しで売却するメリット
まずは、更地渡しで売却するメリットについて見ていきましょう。
メリット①買ってもらいやすい
新築を建てる予定の人にとっては、更地の方が土地の状態を確認しやすく、土地の広さや建設後のイメージをすぐに確認できるため、工事もすぐに進めることができます。
売買に伴うリスクも古家付き土地に比べて少なく、買ってもらいやすい傾向にあります。
メリット②建物の解体費用は売却資金から支払うことができる
解体更地渡しの場合は、一般的に買主が決まり、売買契約締結後に解体工事を行い、更地になった後に売買代金の清算及び土地の引渡しを行う流れとなります。
そのため、解体費用を先に持ち出すことなく、買主から売主へ支払われる売買代金の中から解体費用を支払うことができます。
売れることが決まっていない状況で、先に数百万円の工事代金を支払うのは、金銭的な負担となりますが、この方法であれば、売却経費として解体費用を支払うので、預貯金を取り崩す必要はありません。
更地渡しで売却するデメリット
更地で土地を売却する場合のデメリットについても考えてみます。
デメリット①解体費用がかかる
当然の事ではありますが、更地で売却する場合は、更地にするための解体費用を売主が負担します。
先述した通り、少なくとも100万円以上はかかることになりますので、売却手取り額から解体費用が引かれることになります。
デメリット②精神的な負担
長く住み続けた住宅には、思い出が詰まっています。
家を建てる時には、大きな買い物だったはずですし、家族がそこで過ごした日々があります。
空き家になったとはいえ、建物を解体することに対しては、寂しさや悲しみを感じる方もいらっしゃるでしょう。
ここでは金銭的ではなく、あえて精神的な負担としてデメリットを上げておきました。
古家付き土地として売却・更地渡し、どちらが向いている?
古家付土地として売却する場合と更地渡しの場合、両方のメリット・デメリットを解説しましたが、具体的にはどちらが良いのでしょうか。
それぞれのパターンに向いているケースと、売却の注意点やポイントもあわせてご紹介していきます。
古家付き土地のまま売却するのが向いているケースを紹介
古家付き物件として売却するのがおすすめなのは、「建物自体に価値がある場合」「再建築ができない土地の場合」「土地の価格より解体費用のほうが高くなってしまう場合」などです。
最近では、古い家をリノベーションして住みたいという人も少なくないため、家としての機能が問題ない場合はそのまま売却したほうが費用を抑えられるでしょう。
また、建築基準法の関係で、取り壊したら新しい家を建築できないという土地も存在します。
市街化調整区域に指定された土地も新築の家は建てられませんので、更地にしないほうが良いでしょう。
古家の場合、地域によっては売却価格よりも解体費用のほうが高くなることもあるので、その場合も古家付き土地として売却することをおすすめします。
古家付き土地を売却する際の注意点やポイントは?
古家付き土地として売却する場合は、「古家付き土地、更地渡しも可」といった内容で売り出すと良いでしょう。
そうすることで、新築の家を建てたい人と住むための家を探している人、両方がターゲットとなり、買主の幅が広がります。
更地にするために必要な費用は事前に把握しておきましょう。
また、リフォーム代がいくらかかるのかも把握しておくことが大切です。
リフォームやリノベーションの工事費用や工事期間などを提示すれば、買主の中で購入後のイメージが広がり、購入してもらいやすくなりますよ。
更地渡しで売却が向いているケースを紹介
一方、更地渡しで売却することが向いているのは、「建物が古すぎたり耐震性が弱い場合」「古家の維持が難しい場合」などです。
古すぎて人が住めない状態の建物は、残しておいても売れ残ってしまう可能性があります。
ひと目見て良い印象を抱かない物件であれば、思い切って解体してしまいましょう。
また、昭和56年末頃までに建築された家は、耐震基準を満たしていないものも多くあります。
これらの物件は買主側にとって重要となる税金の優遇制度である「住宅ローン減税」を受けられないので、購入を敬遠されがちです。
また、古家が空き家状態期間が長かった場合、建物の状態が劣化しているだけではなく、塀が傾き隣地へ越境していたり、庭木などの手入れも行き届かず、近隣住民の方から苦情が出てくるケースもあります。
そのような物件を「現状渡し」で販売しても売却活動に半年から年単位ほどかかってしまう場合もあります。
その間の維持が面倒だったり物理的に不可能な場合には、「解体更地渡し」で早めの売却をしてしまうのも1つの手です。
「更地渡しにしたらすぐに売れた」ということもあるので、物件の状態を見ながら臨機応変に対応していくことが大切です。
更地渡しの際の注意点やポイントは?
更地渡しにする場合、トラブルを避けるために契約条件を確認しておくことが重要です。
売買契約書にある解体費用の責任についてや、物件の抹消登記に関する取り決めをきちんと確認しておく必要があります。
ローン特約(買主が住宅ローンの申請に通過しなかった場合、売買契約が白紙になる仕組み)についても理解しておきましょう。
また、固定資産税にも注意が必要です。
固定資産税はその年の1月1日時点での所有者に課税されるものですので、年を越す場合には、解体日や引き渡し日について十分に考える必要があります。
近隣との関係を良好にしておくことも、スムーズな売却のために重要なポイントです。
解体工事期間は大きな騒音や振動が起こるため、近隣住民に迷惑がかかってしまいます。
トラブルを避けるためにも、近所の方に伝えておくことをおすすめします。
古家付き土地・更地渡し、最適な方法で土地を売却しよう
空き家などの古家を売却する場合、家を残したまま「古家付き土地」として売却する方法と、物件を取り壊してから「更地渡し」として売る方法があります。
古家付き土地で売却する場合は、解体費用がかからなかったり売却期間の固定資産税を安く抑えられたりするメリットがありますが、一方で、なかなか買主が見つからない、売却価格が想定していたよりも安くなってしまうといったデメリットも存在します。
更地渡しの場合は、解体費用を負担しなければなりませんが、買い手がつきやすく早期成約が見込める可能性が高まります。
土地を売る際には、両方のメリットとデメリットを把握した上で不動産業者と話し合い、建物の状態や立地条件、市場動向などを見極めながら売却計画を立てる必要があります。
八城地建では、札幌市南区・北広島・恵庭の不動産売却の際の手続きをサポートしています。
該当する地域での不動産に関するお悩みをお持ちの際は、ぜひ一度ご相談ください!