不動産の告知義務を解説!瑕疵のある物件を売りやすくする方法も
2024.12.01
こんにちは!不動産売買をサポートする八城地建の田畑です。
不動産の売却を検討する方にとっては、建物そのものに不具合があったり周辺の環境に心配な点があったりすると、売却できるのか不安になりますよね。
見えないところの不具合や気づかないような環境の問題の場合、言わないままで売却することも考えてしまうかもしれませんが、伝えずに売却することには「賠償責任」などの大きなリスクがあります。
今回は、不動産売却の際に瑕疵(かし)を伝える「告知義務」について解説します。
瑕疵のある物件を売る方法についてもお話ししていきますので、ぜひ参考にしてみてくださいね!
不動産の告知義務とは?どんなケースで課せられるのか
まずは「告知義務」とは何をすることなのか、どのような内容を告知しなくてはならないのか、告知に関する注意点など、基本的なことについて解説します。
不動産の告知義務とは?
告知義務とは、建物そのものと周辺の環境などに関する不具合や欠陥、懸念される環境などを、売却時に買主に伝える義務のことです。
不動産における不具合や欠陥のことを「瑕疵(かし)」といいます。
2020年以前は、物件に隠れた瑕疵があった場合、買主は売主に対して契約の解除や損害賠償を請求できる「瑕疵担保責任」という法律が定められていました。
その後、2020年4月に改正された民法で、新たに「契約不適合責任」というルールが新設されています。
このルールで重要なのは、瑕疵に対する責任は、契約内容に適合しているかどうかという点です。
そのため、告知義務を果たさず契約内容に記載されない瑕疵があった場合、売主は買主に対して契約不適合責任を負うことになります。
告知義務がある瑕疵の内容
告知しなければならない瑕疵には、4つの種類があります。
- 物理的瑕疵
- 環境的瑕疵
- 心理的瑕疵
- 法律的瑕疵
物理的瑕疵とは、建物の物理的欠陥や不具合のことです。
例えば、雨漏りやシロアリ被害、壁のひび割れなどが該当します。
環境的瑕疵とは、周辺環境の問題のことで、日常生活に支障をきたすものを指します。
例えば、近隣の工場や店舗の騒音や、近くを走る車や電車による振動などがあります。
心理的瑕疵とは、買主がその不動産を持つことで不安に思ったり、不快になったりする問題のことです。
例えば、事故物件であったり、近隣に反社会的勢力の事務所や火葬場、墓地があるなどの環境が挙げられるでしょう。
法律的瑕疵とは、建築基準法や都市計画法など物件に関わる法律で、不動産の使用や新築、リフォームなどが制限されていることをさします。
告知に関する注意点
物理的瑕疵と環境的瑕疵、法律的瑕疵は売却の契約時点で、問題のある状態が続いていれば告知しなくてはなりませんが、判断が難しいのは心理的瑕疵の内容です。
国土交通省「人の死の告知に関するガイドライン」によると、人の死が関わる「事故物件」の場合、事故が起きてからおおむね3年が妥当と記載されています。
ただし、事故内容の事件性や周知性、社会に与えた影響などを考えて、影響力が高いと考える事案については3年という期間にとらわれずに告知したほうが良いケースもあります。
売却しようとしている不動産が事故物件だったり、心理的瑕疵を訴えられる可能性があったりする場合は、事前に不動産会社とよく相談しましょう。
事故物件を売るコツについては「事故物件の売却相場や売るためのコツをご紹介!」もぜひ一読してみてくださいね。
不動産の告知義務を守らなかった場合のリスクも確認!
冒頭でも少し触れましたが、不動産の告知義務に違反した場合、次のようなリスクが考えられます。
- 補修請求
- 減額請求
- 契約解除
- 損害賠償請求
告知しなかった内容が物理的瑕疵だった場合、買主から不具合や欠陥の補修を請求される可能性があります。
これが、補修請求です。
物理的瑕疵が補修では直らない場合や、そもそも補修請求に応じなかった場合は、売却価格の減額を求められる恐れがあります。
また、補修請求にも減額請求にも応じずにトラブルに発展してしまった場合は、売買契約を解除されてしまう可能性もあるでしょう。
告知義務に違反し、契約解除に応じた場合も、売買契約や契約解除のために負担した費用を損害賠償請求される恐れがあります。
心理的瑕疵の場合は、心理的な苦痛に対する慰謝料も請求されることがあるかもしれません。
告知義務のある瑕疵物件はどうすれば売れる?
告知義務のある瑕疵物件を売却しやすくするためには、いくつかの方法があります。
ここからは、その方法について解説します。
不動産会社に相談する
瑕疵のある不動産を売却する際は、まず信頼できる不動産会社に相談することをおすすめします。
告知義務に違反すると、仲介した不動産会社も買主から責任を問われることになります。
そのため、売主は買主だけでなく、不動産会社からも損害賠償を請求されるリスクがあるのです。
このようなリスクをなくし、売却をスムーズに進めるためにも、仲介する不動産会社に瑕疵の内容を正しく伝えるようにしましょう。
不動産会社は、瑕疵の内容や物件の状態を踏まえて売却活動を進めてくれます。
清掃・修繕・リフォームをする
物理的な欠陥の場合は修繕やリフォームで瑕疵をなくせるならば、その方法が最も効果的でしょう。
事故物件のように心理的な瑕疵を改善するためには、徹底的な清掃やリフォームで事故の印象を払拭し、物件本来の価値を取り戻すことが大事です。
建物を取り壊して更地にする
事故物件の場合や、物理的瑕疵が修繕やリフォームで改善されない場合は、建物を取り壊して更地として売却する方法もあります。
事故物件の場合は、建物を取り壊しても事故の印象を完全に消すことはできない可能性もありますが、その土地に幅広い用途があることを示すことによって、売却できる可能性も高まるでしょう。
不動産会社に買取を依頼する
買主を探すのではなく、不動産会社に買取を依頼することで、早めの売却が可能となるケースもあります。
事故物件を専門に扱う不動産会社や取り扱った経験のある不動産会社は、事故物件売却のノウハウを持っています。
また、複雑な手続きや説明義務などの手間やリスクを減らせる点もメリットです。
ただし、一般的な価格相場よりも低い売却金額となる可能性も高い点はデメリットです。
買取を依頼する際は、複数の不動産会社から見積もりをとって比較すると良いでしょう。
不動産には瑕疵の告知義務がある!しっかり把握して対策を
売却しようとしている不動産に瑕疵がある場合、瑕疵について買主に告知をする義務があることが法律で定められています。
瑕疵の内容は物理的、環境的、心理的、法律的なものがあります。
いずれの瑕疵でも、契約時点で告知していなければ、契約不適合責任を問われる可能性があることをしっかり把握しておきましょう。
契約不適合責任を問われてしまった場合、補修請求や減額請求、さらには契約解除や損害賠償請求にまで話が発展する可能性もあります。
瑕疵のある不動産は売りにくいと思う方もいるかもしれませんが、不具合や欠陥を修繕したり、徹底的な清掃やリフォームを施すことによって売却は可能です。
場合によっては不動産会社に買取を依頼することもできるでしょう。
まずは、信頼できる不動産会社に相談するのがおすすめです。
札幌市南区、北広島市、恵庭市で不動産の売却を検討されている方は、八城地建までお気軽にご相談ください。
ご相談は無料で承っています。