金利上昇での不動産価格への影響は?売買をする際のポイントも解説
2025.01.05
こんにちは!不動産売買をサポートする八城地建の酒井です。
2024年3月に日銀が金融緩和政策を転換し、17年ぶりに利上げを決定しました。
日銀の利上げは住宅を購入する際の住宅ローンの金利にもかかわるため、不動産売買を検討している方にとっては他人事ではないニュースでしょう。
今回は「金利上昇と不動産価格の関係について知りたい」と考える方に向け、金利上昇が不動産価格に及ぼす影響について詳しく解説します。
同時に、この時期に上手に不動産売買するポイントもご紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
金利上昇が与える不動産価格への影響は?下落するもの?
一般的に、金利が上昇すると、不動産取引が縮小して価格が下落するといわれています。
ほかの経済活動と同様、金利が上昇することで資金調達に大きく影響することが大きな理由です。
また、金利の負担が大きくなることから、購入意欲そのものが低下してしまうことも原因といえるでしょう。
一方で、不動産そのものの条件や金利以外の経済状況との兼ね合いもあるため、不動産価格は「必ず下落する」とはいえません。
金利上昇の影響を受けにくい物件もあるほか、むしろ上昇する可能性も否定できないため、
不動産価格が下落しやすい理由を詳しくお伝えするとともに、その点を解説していきます。
不動産価格が下落しやすい理由
まずは、金利上昇により不動産価格が下落する理由について、次の3点が挙げられます。
- 住宅ローンの負担が増えて需要が減るため
- 不動産投資の需要が減るため
- 住宅売却による不動産の供給が増えるため
一つずつ見ていきましょう。
住宅ローンの負担が増えて需要が減るため
金利上昇は不動産売買の市場に大きな影響を与えます。
返済中に貸出金利が上昇することにより、住宅ローンの返済総額が増加する可能性が高まるためです。
月々の返済金額を増やさないよう資金計画する人が多くなれば、必然的に借入金額が少なくなるケースも増え、購入できる不動産の価格も下げざるを得なくなります。
理論的には、金利1%上昇で不動産価格は20%下落する可能性があるといわれています。
また、返済リスクが高まることで、金融機関の審査が厳しくなる傾向もあり、借入可能額の減少と不動産価格の下落を招く要因となります。
不動産投資の需要が減るため
金利上昇により、不動産投資の新規参入が難しくなることも予想されます。
金融機関のローン審査が厳しくなることに加え、金利上昇によって投資家や開発業者の利益率が圧迫されるためです。
物件の価値下落リスクが高まって投資家の購入意欲が低下することも、不動産投資の需要が大幅に減少する理由の一つになります。
投資目的での不動産売買が減少することから、結果的に、不動産市場全体の価格低下を招くことが考えられます。
住宅売却による不動産の供給が増えるため
金利上昇に伴い、不動産市場では売却物件が増加する可能性も高まります。
ローン返済が難しくなる人が増えたり、投資目的の方が将来の価格下落への懸念から売却したりするようになると、供給過多になるからです。
不動産価格は需要と供給のバランスで決まる要素も含まれるため、購入希望者が減少すれば、結果的に価格は下落するでしょう。
金利上昇が不動産価格に影響しないケースとは
金利上昇によって不動産価格が下落するといわれることが多い一方で、あまり価格に影響しないと予想される物件もあります。
例えば、次のようなケースです。
- 不動産需要の高いエリアの物件
- 希少性の高い物件
需要の高いエリアの物件
下記のようなエリアの物件は、不動産価格が下落傾向にある時期でも影響がない可能性が高いです。
- 栄えている中心部のエリア
- 交通アクセスの良い利便性の高いエリア
- 今後の発展が見込まれるエリア
今後の傾向として、人口が少なくなることで生活基盤を維持しやすい栄えているエリア、通勤しやすい利便性の高いエリアの人気が一層高まると予想されます。
人口が集中することで、そのエリアでのサービスはさらに充実し、より人が集まるようになるため、資産価値が上がって不動産価格は下落しにくいといえるでしょう。
また、開発途中の新興住宅地なども、商業施設や病院、学校などの住環境が整うにつれて人の流入が増えることが考えられるため、価格は上昇傾向になりやすいといえます。
希少性の高い物件
希少性が高い物件も、影響を受けにくいケースです。
希少性が高い物件には次のようなものがあります。
- 新築、もしくは新築に近い物件
- 立地条件の良い物件
- マンションの最上階や角部屋など
上記のような物件は、数が限られていることが大きな特徴です。
通常でも高値がつきやすい物件のため、影響は受けにくいと考えられます。
特に近年、マンションについては不動産投資の対象として扱われることも増え、価格の高騰が顕著になっています。
逆に不動産価格の上昇もあり得る?
最近の日本銀行の植田総裁の会見によると、「物価と経済の改善の流れが続けば、政策金利を引き上げる必要がある」と話しており、金利の上昇が続く可能性は大いにあります。
もともと持ち家が欲しいと考えている場合は、今後のさらなる金利の上昇を見込み、上がり切る前に購入してしまおうという考えになる方もいます。
そういう方が増えた場合に、不動産価格の上昇もあり得る話でしょう。
金利が上昇しているときに不動産を売買するポイント
将来的なさらなる金利上昇に備えて、不動産の売買をいつにすべきか、不安になる方もいますよね。
ここからは、金利上昇の局面でも不動産を上手に売買するポイントを解説します。
金利が上昇しても不動産を高く売却するポイント
金利が上昇したからといって、すぐに不動産価格が下落するわけではありません。
国土交通省による「不動産価格指数」を見ても、日銀が利上げを決定した3月以降も、全国の不動産価格は上昇傾向にあります。
現時点では住宅ローンの変動金利に大きな上昇は見られないことが、その大きな理由です(※2024年12月時点)。
また、不動産価格は金利だけでなく、家賃相場やインフレの状況、資材費や人件費なども複雑に絡んで決まることも理由といえるでしょう。
このような理由から、金利の上昇局面でも、不動産を高く売却するポイントは次のように考えられます。
- 早めに検討する
- 購入者に向けたアピール方法を知っておく
なお、不動産相場の調べ方については「不動産相場の調べ方を徹底解説!売るためには適正価格をつけることが重要」でも詳しく解説しています。
気になる方はあわせて参考にしてくださいね。
早めに検討する
ここまで説明したように、2024年12月現時点では一律的な不動産価格の下落は見られません。
とはいえ今後、さらなる金利上昇があった場合には、資金調達の難しさから不動産の需要が減る可能性もあります。
そのため、不動産の売却について迷っているのであれば、早めに検討するのがおすすめです。
金利の上昇時期やその幅を予測するのは難しいため、価格が下落する前に早めに手を打つことが重要なポイントとなります。
購入者に向けたアピール方法を知っておく
お伝えしたように、希少価値の高い物件は価格を下げずに売りやすいです。
そのため、不動産売却の際には、購入を検討する方が何を重視するのかを知っておくことがポイントとなります。
どんな点をアピールポイントにすれば価値が高まりそうか、不動産会社と相談して強みを挙げておきましょう。
実際に住んでみて感じるメリットや周辺環境の良さはもちろん、今物件を購入するメリットも伝えられるようにしておくと、高くスムーズに売却できる可能性が高まります。
不動産をお得に購入するポイント
金利上昇によって住宅ローンの金利も上がることが予想されるため、持ち家よりも賃貸のほうが良いのではと考える方もいるかもしれません。
ですが、不動産を購入する場合には、さまざまな制度や控除、補助金などを適用できるため、上手に活用することでお得に購入できる可能性があります。
ここからは、住宅の購入で活用できる制度についてご紹介します。
長期の固定金利の住宅ローンを利用する
不動産をお得に購入するポイントの一つが、長期の固定金利の住宅ローンを利用することです。
住宅ローンの金利は、市場金利に連動して上下する「変動金利」と借入時の金利が一定期間固定される「固定金利」の2種類あります。
固定金利の期間は10年、20年、35年などの種類があります。
これまでのような金融緩和の局面では、年数とともに金利が下がる可能性が高かったため、変動金利を選択する方が多い傾向にありました。
金利上昇の局面では、今が最も低い金利となるため、固定金利を利用したほうが返済総額を抑えられる可能性が高まります。
住宅ローン減税を利用する
住宅ローンを組むことで税金が控除される「住宅ローン減税」制度を適用するのも、住宅をお得に購入できるポイントです。
「住宅ローン減税」は住宅ローンを組んで住宅を購入した場合、年末のローン残高の0.7%を所得税から最大13年間控除する制度です。
無理のない負担でニーズに応じた住宅確保を促進するために定められました。
認定長期優良住宅や認定低炭素住宅、ZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅の新築などが支援対象になっています。
また、省エネ基準の条件を満たしている場合、直系尊属から贈与された住宅取得資金について1,000万円まで贈与税が非課税になる措置も盛り込まれています。
両親からの援助も検討できる場合は「住宅ローン減税」制度を上手に活用するのが良いでしょう。
住宅購入に関する補助金を利用する
利用できる補助金がないかも調べてみましょう。
購入予定の住宅や家庭環境によって、さまざまな補助金が設定されています。
例えば「子育てエコホーム支援事業」は、子育て世代、若者夫婦世帯を対象とした、省エネ性能の高い住宅取得を支援する事業です。
住宅の条件によりますが、最大100万円の補助が受けられます。
また「ZEH補助金」は、ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)住宅の取得を促進するために定められた事業です。
ZEH住宅とは、省エネと創エネによって、消費される年間の一次エネルギーを正味ゼロにするよう設計された家のことを指します。
省エネ性能によって、最大100万円~の補助が受けられます。
※2024年12月時点の情報です。補助金には期限があるため、事前に今活用できそうな補助金があるかを確認しましょう
金利上昇局面での売買は不動産価格が変わる前に早めの対策を
2024年に入って日本銀行が実施した利上げ。
利上げは物価だけでなく、不動産価格にも大きな影響を及ぼします。
一般的には、金利が上がると不動産価格は下落する傾向にあるといわれています。
それは、住宅ローン金利の上昇によって資金調達が難しくなることが大きな要因です。
資金調達が難しくなると、不動産の購入意欲が減少し、需要が減ることで価格が下落する可能性が高まります。
金利の上昇局面で、不動産の売却を検討している方は、できるだけ早めに情報を集め、対策を打つことが求められるでしょう。
一方で、人気エリアや希少物件のように、金利が上昇しても価格への影響を受けづらい不動産もあります。
このような不動産の売却を検討している場合は、購入希望者のニーズを把握し、しっかりとアピールすることが早期売却を実現させるポイントとなるでしょう。
不動産の売却について不安がある場合は、信頼できる不動産会社に相談するのがおすすめです。
札幌市南区、北広島市、恵庭市で相続不動産の売却を検討されている方は、八城地建までお気軽にご相談ください。ご相談は無料で承っています。