不動産相続の期限はある?放置のデメリットや手続きの注意点も詳しく!
2021.11.28
こんにちは!不動産売買をサポートする八城地建の宮下です。
不動産を相続することになると、いくつかの手続きを行わなければなりません。
そのような相続手続きはいつまでに行えばいいのかをご存じでしょうか?
相続に関する手続きは、期限のないものありますが、相続税の申告・納税、相続放棄など定められた期限があるものもあります。
今回は不動産相続における手続きの期限、期限を超えてしまった際のデメリットなどについてお話しします。
また、不動産を相続する際の手続きの流れと注意点についてもお伝えしますので、ぜひ参考にしてくださいね!
不動産相続に関する期限をすべてチェック!
不動産相続の手続きで法的期限あるものと言えば、まず「相続税の申告と納税」があげられます。
「相続税の申告と納税」の期限は、不動産の持ち主である人(被相続人)が亡くなったことを知った日から10カ月以内と定められています。
このような期限の定めがある場合、いつを初日として計算するのか悩む人も多いかもしれませんが、「相続税の申告と納税」の場合は、被相続人が亡くなったことを知った翌日となります。
具体例をあげると、5月10日に被相続人が亡くなり、亡くなった事実を当日に相続人が知ったとします。
知った翌日から換算するので、翌年の3月10日が申告・納税の期限となります。
期限に当たる日が土日・祝日の場合は、翌日もしくは月曜日に期限が延長されます。
そのほかの期限についても、詳しく見ていきましょう。
不動産相続の名義変更には期限がない
不動産相続の手続きには名義変更(相続登記)があります。
しかし、相続する不動産の名義変更には法的な期限が設けられていません。
実は登記そのものが義務ではないのです。
つまり不動産相続を行うことになり、所有者が変更されることになったとしても、被相続人から相続人へ名義変更をする義務はないことになります。
義務がないことから、法的期限や特別な制限を設けられていないのです。
名義変更を行わなかったとしても、法務局等の行政機関から、名義変更の連絡や通知が来ることは原則なく、罰則を受けることもありません。
そのため、相続人が被相続人の所有する不動産を把握していない場合などは、登記をしていないケースも起こり得ます。
相続放棄をする場合の手続きの期限は3カ月以内
被相続人の所有する不動産の相続放棄を行うのであれば、3カ月以内に家庭裁判所に対して申述を行わなければなりません。
こちらも相続人が、被相続人が亡くなったことを知った翌日から3カ月以内で計算します。
ちなみに、相続放棄するかどうかを迷っている場合は、相続財産の調査を行なってから判断することも可能です。
しかし、この調査にも多くの時間を要するため、3カ月があっという間に経過してしまい、申述が間に合わなくなってしまうことも。
期限を超過してしまったり、申述する前に相続の一部を処分してしまっていたりすると、相続放棄ができなくなることもあります。
期間内の申述が間に合わないと判断した場合は、家庭裁判所へ期間伸長の申立てを行うこともできます。
不動産相続の期限を過ぎてしまった場合のデメリットも知っておこう
不動産相続における税務的な期限が10カ月。
相続放棄する場合でも、3カ月の猶予があると思っていると、あっという間に期日が来てしまいます。
また、名義変更(相続登記)には期限がないため放置し続けてしまうケースも多いですが、少なからず不利益が起こります。
不動産相続の期限が超過してしまった場合にはどのようなデメリットが起こるのでしょう。
名義変更を行わずに放置してしまうデメリットについても解説します。
相続税の申告・納付期限を超過するデメリット「特例の使用不可」
不動産相続税の申告では、特例が使用できることも。
しかし、特例適用の条件に「申告期限内に申告を行うこと」という条件がついているものもあり、1日でも期限を超過してしまうと特例が使えず、損をしてしまうことも。
特例を使用できるか使用できないかで、相続税額が大きく異なるケースも珍しくないようです。
相続税の特例やその他の控除については、下記のコラムでもご紹介しています。
あわせて参考にしてみてくださいね。
相続税の申告・納付期限を超過するデメリット「加算税・延滞税」
被相続人が亡くなったことを知った日から10カ月以内に相続税の申告を行い、相続税を納付しなければなりません。
1日でも超過してしまうと、加算税や延滞税が課せられてしまうため、必ず期限内に申告・納税を行うようにしましょう。
期限内に申告が遅れた場合と、納税が遅れた場合で、以下の4種類の追徴課税があります。
過少申告加算税
申告した税額が事実よりも過小だった場合に課せられる加算税です。
追徴課税は、追加で納付することになった税金の10%相当金額になります。
ただし、追加で納付することになった税金が、当初の申告納税した金額と50万円とのどちらか多い金額を超過している場合は、超過した部分は15%になります。
また「過少申告加算税」は、税務署に指摘する前に修正申告を行えば課税されません。
延滞税
期限日を超過してから納税した場合に、納付した相続税に対して課税されるもので、課税税率は年度によって変動します。
無申告加算税
正当な理由がない状況で期限までに申告を行なわなかった場合に課せられる加算税です。
遅れたことを自主的に申告した場合は納付した税額の5%を、税務署からの指摘を受けて申告した場合は納付した金額の15%が課税されます。
重加算税
財産の仮装・隠ぺいを行なった場合に課せられるもので、もっとも重いペナルティです。
申告書を期限内に提出している場合は、追加で納付する税額の35%。
申告書を期限内に提出していない場合は、追加で納付する税額の45%を追徴課税として支払うことになります。
名義変更をせずに放置した場合のデメリット
名義変更(相続登記)には期限がありませんが、長期間放置した場合にはデメリットもあります。
主にあげられるデメリットは以下の3つです。
- 不動産の売却ができなくなる
- 登記の書類が入手しにくくなり、名義変更が難しくなる
- 今後の相続で問題が起こりやすくなる
亡くなった被相続人の名義のままでは不動産を売却ができないため、相続して不動産の所有者となった人は、必ずご自身へ名義変更をしなければなりません。
しかし、長期間名義変更をしないまま放置していると、登記に必要な書類が手に入りにくくなるなど、名義変更の難易度が上がってしまいます。
また、放置している間に相続人が亡くなるなどで次の相続人が登記を行うこととなると、年数経過により必要書類が手に入らない、相続人が増えて話し合いが難しくなるなど、さらに複雑になります。
このように名義変更を長期間せずに放置してまうと、さまざまな問題が生じ、相続自体を諦めてしまうケースもしばしば起こるのです。
不動産相続(名義変更/相続登記)の手続きの流れと注意点も確認
不動産相続の手続きの流れは、以下のようになります。
①必要な書類の用意
被相続人と、相続することになる相続人全員の書類を用意して提出します。
相続する人数が多くなれば、それだけ集める手間が増えるでしょう。
また、平日にしか空いていない銀行や、役所でしか手に入らない書類も多数ありますので、期日に間に合うようなスケジューリングが重要です。
②不動産の相続人の決定
遺言書がある場合は書かれた内容に沿って相続人を決定します。
遺言書がない場合は、すべての相続人で遺産分割協議の話し合いを行い「遺産分割協議書」を作成します。
この時点で話し合いが難航することも珍しくなく、そのために期日に間に合わなくなるケースもあります。
どうしても決定できない場合は、法定相続分の割合で登記する方法もあります。
③登記申請書の作成と法務局への申請
必要書類がすべて揃い、相続人も決定した後、登記申請書の作成を行います。
登記申請書は、どのような相続になるかで様式が異なりますので、作成前に必ず確認をしておきましょう。
申請を行う際には、登録免許税の納付が必須です。
事前納付では、金融機関で現金納付するか収入印紙を購入。
法務局で当日納付を行う場合は、その場で収入印紙を購入します。
申請はオンラインでも可能です。
オンラインで申請する場合は専用のソフトのインストールが必須になりますので、事前に確認しておきましょう。
不動産相続(名義変更/相続登記)の手続きについては、「所有者が亡くなった場合の不動産の名義変更は?必要書類や費用も解説」で詳しくお話ししていますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
不動産相続の手続きは期限に関わらず早めの行動がオススメ
不動産相続に関する手続きには、期限が設けられている「相続税の申告と納税」や「相続放棄」があります。
逆に法的な期限も制限も義務もない「名義変更(相続登記)」もあることから、いつまでに手続きを行えばいいか混乱する人も少なくはないでしょう。
「相続税の申告と納税」と「相続放棄」に関しては、期限内に行うことが多数あるため、スケジューリングは重要です。
申告・納税は1日でも遅れると、延滞税や加算税、特例が使えないなどのペナルティも発生しますので注意してくださいね。
不動産を相続する際には、うっかり期限を超過してしまうことがないよう、しっかりと知識を得て早めの行動をするように意識しましょう。
八城地建では住宅の売却と合わせて、不動産相続の際の手続きもサポート。
札幌市南区・北広島・恵庭の不動産売却をご検討なら、八城地建へお気軽にお問い合わせくださいね。