アスベストを使用した家の解体工事は事前調査が必要!費用相場も確認
2022.03.31
こんにちは!不動産売買をサポートする八城地建の酒井です。
かつて、ビルや住宅などの建築に多く使われていた素材として、「アスベスト」という鉱物があります。
しかし、アスベストは人体に影響を及ぼすことがわかり、今では規制の対象となっています。
築年数が経過している建物にはアスベストが使用されていることも多く、そのような建物を解体する際は、きちんと法律に沿って解体作業を行わなければいけません。
そこで今回は、アスベストを使用した家の解体工事の流れについて解説します。
解体工事にかかる費用の相場も紹介しますので、家の解体を検討している方はぜひ参考にしてみてくださいね。
アスベストとは?危険性や危険レベル、法令や条例について知ろう
アスベストは、繊維状に変形した繊維状ケイ酸塩鉱物の総称で、「石綿(いしわた)」とも呼ばれます。
アスベストの成分でもある鉱石には、「クリソタイル(⽩⽯綿)」や「アモサイト(茶⽯綿)」「クロシドライト(⻘⽯綿)」といった種類があります。
アスベストは耐久性や耐熱性に優れていることもあり、以前は住宅の屋根や壁、床や天井などにも多く使用されていました。
住宅だけでなく、自転車の部品などにも多く使用されていましたが、現在は人体に有害であることが問題視され、使用することは禁止されています。
アスベストの危険性
では、具体的に「アスベスト」はどれくらい危険なものなのでしょうか。
アスベストの危険性が明らかになったのは、1970年代に入った頃でした。
アスベストが呼吸器に入り込むことで、さまざまな病気の原因となることが判明したのです。
一度アスベストを吸い込んだだけですぐに症状が現れることは少ないですが、長い間吸い込み続けることによって、咳や呼吸困難、肺がんなどを発症するリスクを伴います。
アスベストの危険レベル
アスベストが含まれている建物の解体工事を安全に行うため、国土交通省によってアスベストの危険性はレベル1〜3に分けられています。
アスベストを含有した建物の発じんの度合いによって分けられていて、そのレベルに合わせた解体作業を行う必要があります。
アスベストに関連する法令
アスベストに関する法令には、下記のようなものがあります。
労働安全衛生法
この法律により、アスベストを重量の0.1%を超えて含有する製剤等の製造、輸入、使用等が禁止されています。
職場における労働者の安全と健康の確保を目的として、建築物の解体作業において、労働者へのアスベストばく露防止対策が定められているのも、この労働安全衛生法によるものです。
建築基準法
国民の生命や健康、財産の保護を目的として、建築物の最低の基準を定めている法律です。
アスベスト含有吹付け材のうち、「吹付けアスベスト」「アスベスト含有吹付けロックウール」がこの法律の対象となります。
大気汚染防止法
事業活動や建築物等の解体等に伴う大気汚染を防止して、国民の健康保護、生活環境の保全、被害者の保護を目的として定められています。
大気汚染防止法は平成26年6月1日に改正され、今まで「工事施工者」に提出義務があった「特定粉じん排出等作業届出」は、「発注者(施主)または、自主施工者」が提出することが義務化されました。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)
生活環境の保全及び公衆衛生の向上を目的として、廃棄物の排出を抑制したり、適正な処理を行ったりすることを定めた法律です。
レベル1〜3全ての建材が対象となります。
このほかにも、地域によっては地方自治体が独自に条例を定めて規制をしている場合もあります。
各自治体のホームページなどもあわせて確認するようにしてください。
アスベストを使用した家の解体工事の流れ。事前調査も必要!
ここからは、アスベストを使用した家の解体工事の流れを、各手順に沿って解説していきます。
①事前調査
アスベストを含む建物を解体する際には、解体業者による事前調査が必要です。
解体業者は図面による調査や現地調査を行い、発注者に書面で報告します。
目視調査で完了しない場合には、サンプルを採取してアスベストの含有量について分析をします。
分析により含有率が0.1%を超えていると判断されると、規制対象となります。
②必要書類の提出
前述した危険レベルに合わせて、必要書類を事前に各都道府県に提出します。
届出の種類ごとの届出先や期日は、以下のとおりです。
先ほども解説しましたが、平成26年6月1日に改正された大気汚染防止法により、「特定粉じん排出等作業実施届出書」の届出義務者が工事施工者から「発注者(施主)または、自主施工者」に変更されています。
必要な場合はきちんと届出を行いましょう。
③近隣への挨拶など工事の告知
各書類が受理され解体工事を行うことになったら、近隣への挨拶などの着工前準備などが必要になります。
苦情などの近隣トラブルを避けるためにも、近隣へのあいさつは必ず行うようにしましょう。
スムーズに工事を進めていくためには、業者の担当者と一緒に近隣をまわり、アスベストの危険性や工事に関して理解してもらうことが大切です。
同時に、工事内容を知らせる掲示物の設置も行いましょう。
④着工前準備
場合によっては、建物の周りに足場を組むこともあります。
作業部付近の湿潤化を行うために、水や飛散防止剤を撒くなどの準備も行います。
また、着工前に水道やガス、電気、電話の配線の撤去の手配も行うようにしましょう。
⑤物件の解体工事
まずはアスベストを含んでいる部分を残して、建物内部の物をすべて撤去して建物内に何もない状態にします。
養生シートなどを使用してアスベストが周囲に飛散することを防ぎながら、除去作業を行っていきます。
木造一戸建の解体の場合には、レベル3建材に該当することが多いため、アスベストが含有している外壁などは飛散防止のために湿潤化させた上で取り壊すことが多いです。
除去したアスベスト含有建材は、しっかりと密封され、内容物がわかるよう明記された状態で廃棄されることになっています。
⑥土地の確認と整地
解体作業が終わったら、廃棄物が残っていないか確認が行われ、敷地内が平らに整地されます。
アスベストが使用されている家の解体工事でかかる費用相場は?
除去費用は解体業者によって異なりますが、国土交通省のホームページによると処理する面積によって下記のような処理単価が目安となります。
アスベストの危険レベル、天井や屋根材、外壁など、除去する箇所によっても費用は異なります。
また、民間建築物の場合は国による補助金制度があります。
場合によってはアスベストの有無を確認する調査段階から、補助金の対象としている地方自治体もありますので、事前に確認しましょう。
ただし、地方自治体によって補助金制度の有無は異なりますので、不明な場合は地方公共団体の担当部局に相談してみてくださいね。
アスベストが使用されている家の解体で注意すべきポイント
アスベストが含まれている物件を解体する際に、注意しておきたいポイントを解説します。
業者選びが大事
アスベストは有害物質で、ずさんに扱うと人体に大きな被害をもたらす可能性があります。
そのため、解体工事を行う際にはきちんとした業者に依頼することが大切です。
下記に注意して業者を選ぶようにしましょう。
- なるべく工事の実績が豊富なところに依頼する
- 有資格者(石綿作業主任者、特別管理産業廃棄物管理責任者)が在籍しているかを確認する
事前調査をしっかり行ってもらう
一般の工事でも言えることですが、適切な工事計画を建てたり、正しい見積金額を提示してもらったりするためにも、事前調査はしっかりと行なってもらいましょう。
サンプルの採取や分析がしっかりと行われなかった場合は、業者を変えることも視野に入れておいてもいいかもしれません。
八城地建では、石綿含有調査者が在籍していますので解体工事の見積と合わせてアスベストが使用されているかどうかの調査も行っております。
アスベストの危険性や工事費用相場を理解して家の解体工事を依頼しよう
かつては住宅やビルを建てる時に多く使用され、今では人体への悪い影響が懸念されている「アスベスト」。
築年数の経過した物件には、アスベストが使用されているものも多くあるため、解体作業の際にはきちんとした手順を踏むことが定められています。
アスベスト含有物件を解体する際には、その危険性を理解した上で適切な手順で解体業者に依頼するようにしましょう。
また、平成26年6月1日に改正された大気汚染防止法により、解体工事位の際に必要な「特定粉じん排出等作業届出」の提出は、「発注者(施主)または、自主施工者」に義務付けられています。
令和4年4月からは、アスベスト調査の結果を行政へ電子報告することが義務化されました。
不動産所有者の個人が、行える作業ではありませんので、必ず解体を依頼される事業者へ届出の依頼をしましょう。
八城地建では、札幌市南区・北広島・恵庭の不動産売却の際の手続きをサポートしています。
古家付きの不動産で、建物の解体が必要の場合でも、アスベスト調査や建物解体工事をワンストップで行っております。
該当する地域での不動産の処分にお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください!