空き家の相続放棄で管理責任はどうなる?相続放棄の注意点も
2022.04.11
こんにちは!不動産売買をサポートする八城地建の酒井です。
すでに家を所有している方は、両親や親族から空き家を相続しても、将来的にも住む予定がないという場合もありますよね。
空き家が必要ない場合は相続を放棄することも可能ですが、不動産は資産ですから多くの方は相続をされることでしょう。
相続により空き家を所有した場合、実は「管理責任」という義務が発生します。
そこで今回は、相続放棄と管理責任について詳しく解説するとともに、空き家を完全に手放す方法もご紹介します!
相続により空き家の管理で困っているという方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
相続放棄とは?空き家のみの相続放棄はできない!
「相続放棄」とは、その名の通り相続の権利を放棄することで、土地や不動産のほか、資産や負債など、すべての遺産が対象となります。
相続放棄をする場合、遺産のうちどれか1つを相続放棄するということはできず、借金などのマイナス資産だけではなく、預貯金などのプラス資産の相続も放棄するということになります。
つまり、相続放棄をすると「最初から相続の権利がなかった人」になるということです。
そのため、空き家のみを相続放棄することはできません。
一般的には相続する財産の総額を見て、マイナス資産の方が大きい場合に相続放棄が行われます。
また、相続人が相続放棄をすると、次の相続人に相続の権利が移ります。
「法定相続人」と呼ばれ、財産を相続できる人とその順番は法律により定められています。
亡くなった方が既婚者の場合、配偶者は常に相続人となります。
配偶者を除いて1番最初に相続の権利があるのは、亡くなった方の子ども、次いで父母などの直系尊属、兄弟姉妹と続きます。
空き家を含めた相続放棄をする場合は、次の相続人が困るという場合もあり得るため、相続権のある人にも相談して進めると良いでしょう。
空き家の相続放棄は可能!ただし管理責任は残るので注意
空き家を相続放棄することは可能ですが、相続しなかったからと言ってその後放置していいわけではありません。
たとえ相続放棄をしても、空き家を放置せずに適切に管理しなければいけない「管理責任」という義務が残ります。
空き家を放置すると不審者やホームレスなどが勝手に利用したり、家が崩壊して怪我の原因になったりと、周りの住民に悪影響を与えてしまうことがあります。
こういったことを防ぐためにも、空き家の管理が必要なのです。
自分が相続放棄をした後、他の親族が相続をした場合は相続した財産とともにその方が管理責任を引き受けることになります。
この場合は次の相続人に引き渡しが完了するまでは、元の相続人(最初に相続放棄をした人)が空き家を管理する必要があります。
また、相続人が自分しかいなくて相続放棄をした場合や、相続人が複数人いるが自分を含めた全員が相続放棄をした場合にも、元の相続人に管理責任が残ります。
相続人がいない場合には、「相続財産管理人」を選出しなければいけません。
つまり、相続放棄をしたとしても、この相続財産管理人が決まるまでは空き家を含めた財産の管理は元の相続人が行う必要があるのです。
管理責任を終わらせて空き家を完全に手放す方法は?
「相続財産管理人」が決定し、相続財産管理人が財産を国へ帰属させる手続きを行うことで、管理責任を終わらせて空き家を完全に手放すことができます。
相続財産管理人は、元の相続人が家庭裁判所に申し立てることで選出するか否かが決定し、必要だと判断された場合のみ裁判所が選任します。
相続財産管理人が不動産の権利を国に移して初めて、管理責任がなくなるのです。
ただし、相続財産管理人の選任の申立には費用がかかり、決定した相続財産管理人へも報酬を支払う必要があるため、費用を用意する必要があります。
空き家の相続放棄には、こんな点に注意
空き家を相続放棄する場合は、親族や裁判所とのやり取りが多く、さまざまな点に注意しながら行う必要があります。
場合によっては相続放棄ができなくなってしまうこともあるので、次に紹介するポイントに注意しながら手続きを進めましょう。
相続放棄をする前に親族に知らせる
前述でも解説したように、相続放棄をすると次の相続人に空き家が引き継がれることになります。
管理責任や金銭面でのトラブルを避け、スムーズに相続を進めるためにも、自分が相続放棄をしたいと考えていることを必ず次の相続人となる親族に連絡をしましょう。
相続放棄は3カ月以内に行う
相続放棄をしたい場合、相続の開始があったことを知ってから3カ月以内に家庭裁判所へ申立をする必要があります。
死亡日から3カ月以上経った相続放棄は認められない場合があるため、空き家の相続放棄を考える場合は早めに動きましょう。
財産を変更・処分したら相続放棄ができない
相続放棄するまでに財産を変更したり、処分してしまったりすると、相続したとみなされて相続放棄することができなくなります。
空き家の場合でも、リフォームや解体工事を行ってしまうと、変更や処分とみなされ相続したということになってしまいます。
現状維持のための保存行為であれば問題ありませんが、注意が必要です。
どこまでが保存行為かわからない場合は、一度変更を加える前に不動産のプロや弁護士、司法書士に相談するようにしましょう。
ちなみに、築年数が経過している建物にはアスベストが使用されていることも多く、解体する場合には法律や規制に沿って対応する必要があるため、手間もかかります。
アスベストを使用した家の解体工事については、「アスベストを使用した家の解体工事は事前調査が必要!費用相場も確認」でもご紹介していますので、あわせてご覧ください。
空き家を相続放棄しても管理責任が残る!手続きは早めに
両親や親族から空き家を相続した場合、管理費や維持費、手間などが多くかかります。
相続する権利を手放す「相続放棄」をすることも可能ですが、相続放棄をした場合でも次の相続人が決まるまでは空き家の管理責任は残ります。
空き家を完全に手放すためには、家庭裁判所に申し立てて相続財産管理人を選出する必要があり、手続きには費用や報酬もかかるため注意が必要です。
また、空き家を相続放棄する場合には次の相続人になる親族に連絡をとること、空き家のリフォームや解体工事をしないことに注意しましょう。
相続放棄や空き家の管理責任に不安があるという方は、多くの知見を持ったプロに相談することをおすすめします。
八城地建では、札幌市南区・北広島・恵庭の不動産売却の際の手続きをサポートしています。
該当する地域での不動産に関するお悩みをお持ちの際は、ぜひ一度ご相談ください!