相続した不動産がいらない!その場合の対処法や注意点を確認
2022.06.30
こんにちは!不動産売買をサポートする八城地建の田畑です。
親や親族が亡くなった際、土地や家などの不動産が相続されることがあります。
しかし、せっかく親から相続したが利用する予定がない、または都心に住んでいて遠方地なので活用できない…といった場合もあるでしょう。
不動産には固定資産税や維持費などの費用がかかるため、活用できない場合は手放したいと考える方も多いです。
そこで今回は、相続した不動産がいらない場合の対処法を解説します。
いらない不動産を相続した際の注意点についてもご紹介しますので、相続予定の不動産の対処に困っているという方はぜひ参考にしてくださいね。
相続した不動産がいらない場合の対処法
不要な不動産を相続した場合や相続予定の場合、以下の方法で不動産を手放すことが可能です。
- 相続放棄
- 売却
- 譲渡・寄付
それぞれ詳しく解説していきましょう。
方法①相続放棄
不動産を相続したくない場合、そもそも相続をしない「相続放棄」という手段をとることが可能です。
相続放棄をする場合は相続開始から3ヶ月以内に家庭裁判所に申し立てる必要があるため、早めに手続きを行うようにしましょう。
ただし、相続放棄はすべての財産が対象となるため、いらない財産だけ相続放棄することは不可能です。
つまり、不動産以外にも相続するものがある場合は、それらも手放す必要があります。
手続き期間や財産の整理のために一度配偶者に全額相続し、その後再度子供に相続する際に相続放棄をするというケースも多いです。
また、相続放棄をする際には1つ注意点があります。
それは「空き家は相続放棄しても管理責任義務(次の所有者が決まるまで最初の相続人が空き家を管理する義務)が残る」という点です。
「相続財産管理人」を選出しない限り、相続放棄をしたとしても、不動産をはじめとする財産の管理は元の相続人が行う必要があるのです。
相続放棄による管理責任や相続財産管理人の選出方法に関しては「空き家の相続放棄で管理責任はどうなる?相続放棄の注意点も」で詳しく解説しておりますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
方法②売却
相続して3ヶ月以上が経ってしまっている場合や、少しでも利益になる可能性がある場合は、相続不動産を売却して現金に換えるのも1つの手でしょう。
比較的綺麗な状態の物件や、そもそも建物がない更地であれば、売却することで利益が出る可能性もあります。
しかし、建物の老朽化が著しい場合や、需要のない田舎の不動産、建物が建てられない市街化調整区域の土地だったりする場合は希望の額で売れず、固定資産税や維持費の支払いでむしろマイナスになる可能性も十分にあります。
また、不動産自体に利益が見込める場合でも、相続人が多いと1人あたりの資産価値は低くなるため、手続きの複雑さや手間を考えて相続放棄するケースも考えられます。
固定資産税や維持費の支払い、相続した場合の持ち分などを考えたうえで売却を検討すると良いでしょう。
方法③譲渡・寄付
売却活動を進めても買主が見つからない場合には、知り合いや隣地の所有者に無償で譲渡する方法もあります。
一般的に資産価値が低いと判断された土地でも、無償であれば引き受けたいという人も少なくありません。
また、国や自治体への寄付も不動産を手放す方法の1つです。
各自治体のホームページや窓口には、不動産の寄付について相談できる場所がありますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
ただし、物件の状態や寄付先によっては、利益の発生の有無に関わらず「みなし譲渡所得」という所得税が課税されるケースもあります。
詳しくは不動産会社や税理士に相談すると良いでしょう。
いらない不動産を相続した際の注意点をチェック
通常、不動産を相続する際には名義変更の手続きが必要ですが、いらない不動産を相続する場合でも名義変更はしておくべきでしょう。
その理由は、「相続登記」の義務化にあります。
相続登記とは「相続による所有権登記」のことで、土地や建物などの不動産の所有者が亡くなった際に、亡くなった方から相続人へと名義を変更する手続きのことを指します。
2022年現在では相続登記をしなければいけないという決まりはありませんが、2024年(令和6年)4月1日より相続登記の義務化が施行されることが決定しています。
義務化がスタートしてから相続登記の未登録が発覚すると10万円以下の罰金が科せられますので、今のうちから相続登記の手続きは済ませておくようにしましょう。
相続した不動産を放置する3つのリスク
相続した不動産を放置することは、名義変更の怠りによる罰金以外にも、次のようなリスクやデメリットが存在します。
①近隣住民とのトラブルの原因になりかねない
窓や屋根がボロボロで見るからに危険性が高い建物や、施錠していないことが原因で不審者や野生動物が出入りするような建物が放置されていたら、近隣住民としては気持ちの良いものではありません。
具体的な被害が生じた場合、不動産の所有者やその家族に対して損害賠償を求めてくる可能性もあります。
近隣住民とのトラブルを避けるためにも、相続した不動産を放置することは避けましょう。
②固定資産税や維持費などの費用がかかる
固定資産税は、物件に住んでいるか否かに関わらず、毎年1月1日時点での不動産保有者に対して課税される税金です。
ただでさえ課税対象である上、「特定空き家(物件を放置したことによって倒壊や害虫の危険性があると判断された空き家)」に指定されると、現在支払っている額のおよそ6倍の固定資産税を支払うことになります。
一方、特定空き家に指定されないためには空き家を維持・管理する必要があり、修繕費や訪問のための交通費、外部に委託した場合は委託費など、さまざまな費用がかかることになります。
相続した不動産は、保有しているだけで固定資産税や維持費などの費用がかかるものなのです。
③相続人が増えて各種手続きが難航する
不動産の名義は手続きをしない限り勝手に変更されることはありませんので、相続した不動産を放置していると、その不動産の名義人は亡くなった人のままです。
本来相続人のはずである亡くなった方の子供が全員死亡した場合、次の相続人はその子供(元の所有者の孫)ということになります。
さらに相続が繰り返されると、相続人はどんどん増えていってしまいますよね。
売却や譲渡などで土地を手放すために相続登記が必要になった場合、原則として相続人全員の同意が必要になります。
また、相続問題は非常にナイーブな問題であり、全員から理解を得るのが困難な場合もあります。
大勢の相続人1人ひとりと連絡を取り、スムーズな話し合いを行うのはかなり難しいでしょう。 状況によっては、相続人が多すぎることが要因で売却できない不動産となってしまうケースもあります。
相続した不動産を放置して相続人が増えることで、結果的に膨大な手間や労力がかかることも考えられるため、放置するのは好ましくありません。
相続した不動産がいらない時は相続放棄・売却などで手放すことが可能
不動産を相続する予定で、使い道がなかったりすでに持ち家があったりした場合は、「相続放棄」「売却」「譲渡・寄付」などの方法で不動産を手放すことが可能です。
また、2024年4月からは相続による不動産の名義変更が義務化され、怠った場合は10万円以下の罰金が科せられます。
不動産を相続した場合には名義変更をしておくようにしましょう。
罰金以外にも、相続不動産を放置すると固定資産税や維持費の支払いが発生したり、近隣住民とのトラブルにつながったり、さまざまなリスクが考えられます。
不動産を相続した際には、いらない場合でも放置せずにきちんと手続きを行うことが重要です。
八城地建では、札幌市南区・北広島・恵庭の不動産売却の際の手続きをサポートしています。
不動産の相続にお悩みの方、対処方法について詳しく話が聞きたいという方は、ぜひ一度ご相談ください!