不動産売買契約で電子化が可能に!メリットや注意点を解説
2022.11.15
こんにちは!不動産売買をサポートする八城地建の酒井です。
さまざまな業界で進められている契約書類の電子化。
電子化とは、紙媒体の書類をデジタルデータへと変換することを指します。
具体的には、オンライン上で書類にサインや印鑑などを入力し、契約を締結する流れとなります。
実は最近、不動産売買契約にもこの電子化が導入されているんです。
そこで今回は、不動産売買契約の電子化の概要を解説するとともに、メリットやデメリットをご紹介!
不動産売買契約で電子化可能な書類もご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
不動産売買契約の電子化とは?
不動産売買契約の電子化は、不動産を売買する際に発生する契約を、オンライン上で締結することを指します。
紙の書類上にサインや捺印をする従来の契約とは異なり、インターネット上のツールを使って電子署名や電子押印を行います。
昨今、さまざまな業界でペーパーレス化が行われています。
一気に広まるきっかけとなったのは、やはり新型コロナウイルス感染症の拡大でしょう。
テレワークやオンライン会議が主流となり、対面しなくても契約を締結できる電子契約の整備が、さまざまな業界で急がれました。
2022年5月に成立、同年9月に施行されたデジタル改革関連法により、さまざまな行政手続きにおける押印の義務化が廃止されました。
当時「脱ハンコ」という言葉が話題になりましたよね。
不動産業界においては、2021年4月に「IT重説(重要説明事項をIT機器を活用して説明すること)」が自由化され、書面での契約が不要な契約については一部電子化が進みました。
その後2022年5月に宅地建物取引業法(宅建業法)が改正され、不動産売買に関するすべての書類を電子化できるようになったのです。
今後、多くの不動産会社で電子契約の導入が進んでいくことでしょう。
八城地建でも不動産売買契約の電子化を導入しており、実際にオンライン上で契約を締結した実績もございます。
不動産売買契約で電子化可能な書類
デジタル改革関連法の施行に伴う宅地建物取引業法の改正により、不動産売買契約において電子化が可能になった書類は以下のとおりです。
- 媒介契約・代理契約締結時書面(売主・買主がそれぞれ不動産会社と契約締結した際に発行される書面)
- 指定流通機構(レインズ)への登録を証明する書面
- 重要事項説明書(契約や物件自体に関する重要な事項を説明した書面)
- 契約締結時書面(宅建業者が売主・買主それぞれに交付する不動産売買契約書)
不動産売買契約の際に、これまで必要だった「収入印紙」や「印鑑証明」などは必要なくなりました。
ただし、一方的に電子契約を締結することは認められていません。
必ず当事者間の同意を得る必要がありますので、注意しましょう。
不動産売買契約の電子化のメリット・デメリットと注意点
では、不動産売買契約を電子化するメリットにはどんなものがあるのでしょうか。
また、デメリットや注意点はあるのでしょうか。
それぞれ詳しく解説していきましょう。
メリット①自宅が遠い・忙しい人でも自宅で契約できる
不動産売買契約書を電子化するメリットとして大きいのは、なかなか不動産会社に足を運べない人でも、スムーズに契約しやすいことでしょう。
クリックのみで契約が締結できるため、印鑑などを用意する手間も必要ありません。
これまでも不動産会社に出向かず契約できる方法として郵送がありましたが、書類の押印忘れがあったり、書類のやり取りに時間がかかるというデメリットがありました。
しかし、電子契約書であれば時間を要さずに契約を締結することが可能です。
売主や買主が便利になるのはもちろん、不動産会社においても業務の生産性が向上するでしょう。
メリット②契約者が複数人いてもスピーディーに契約できる
相続された不動産の場合、売主が複数いるパターンが考えられます。
その場合は1人1人に書類を送付し返送してもらう必要があり、膨大な手間と時間がかかってしまいます。
居住地がバラバラの場合は、さらに手続きが面倒になるでしょう。
しかし電子契約なら、複数人の確認が必要な場合でもスピーディーに契約を進められます。
メリット③いつでも閲覧・ダウンロード可能で書類をなくす心配もない
電子化された契約書の控えはクラウド上に保存されているため、いつでも閲覧やダウンロードが可能です。
なくす心配もないため、引っ越しや相続などで契約書が必要になった際に「契約書をどこにしまっているのかわからない」という状況を回避できます。
また、膨大な量の書類をきれいに保管する不動産会社にとっても、書類を1枚1枚確認する手間・労力や、書類を保管するためのスペースが必要ないのも大きなメリットです。
メリット④コスト削減につながる
書面による不動産売買契約では、印紙代(契約書や領収書などの「文書」に課税される税金)がかかります。
しかし、電子契約書は「文書」ではないため印紙税は発生しません。
売主・買主の費用負担が減ることになります。
また、契約書を電子化することで、売主や買主が不動産会社に出向いたり、不動産会社が顧客に書類を郵送したりする必要もなくなります。
印紙代だけでなく、交通費や郵送代などのコストも削減できるメリットもあります。
デメリット・注意点①売買仲介の場合は双方の同意が必要
売買仲介の場合は、売主と買主の双方が電子契約に同意する必要があります。
どちらか片方のみが電子契約を希望したとしても、もう片方が拒否すれば書面での契約締結が必要です。
電子契約に不安があり、紙での契約を希望する方は珍しくありません。
相手が企業の場合、社内でのフローが整備されていないことを理由に、電子契約を断られるというケースも考えられるでしょう。
デメリット・注意点②スマートフォンやパソコンが必要
オンライン上で契約書のやり取りをするには、スマートフォンやパソコン、そしてメールアドレスが必要になります。
そのため、それらの機器や連絡がとれるメールアドレスを持っていない場合は対応できません。
特に高齢者の場合、スマートフォンなどの操作に慣れていないことも多く、電子契約できないケースもあります。
デメリット・注意点③不動産会社の業務フローの再整備が必要
不動産取引のすべてを電子化する場合、不動産売買契約に関してだけでなく、更新や退去、駐車場の契約書類もまとめて電子化する必要があります。
不動産会社にとっては、社内の業務フローの再整備が課題になるでしょう。
ただし、不動産業界に限らず、今後は契約書等の電子化はますます進んでいくと考えられます。
業界全体で電子化のメリットを理解し、マニュアルを整えながら導入していくことが大切です。
デメリット・注意点④セキュリティ面の対策が必要
不動産売買契約に限った話ではありませんが、さまざまな契約書類が電子化されることで、これまでよりもさらにセキュリティ面の強化が必要になります。
契約書には契約者の個人情報が記載されているため、万が一ウイルスやサイバー攻撃の被害にあった場合、大きなトラブルにつながるでしょう。
多くの人の契約書を保管する不動産会社はもちろん、契約者個人単位でもデータの暗号化やウイルス対策システムの導入など、万全な対策を講じる必要があります。
また、書面での保管と同様、紛失しないための対策も必要です。
万が一の場合に備え、定期的にバックアップを取っておきましょう。
不動産売買契約の電子化にはメリットが多い!
リモートワークやオンライン会議などが主流化している昨今、さまざまな業界で書類のペーパーレス化や契約書等の電子化が進められています。
2022年5月にはデジタル改革関連法が成立し、不動産業界においても2021年4月のIT重説の自由化、2022年5月の宅地建物取引業に関する法改正により、不動産売買に関するすべての書類を電子化できるようになりました。
不動産売買契約の電子化には、「自宅から簡単に契約できる」「いつでも閲覧・ダウンロード可能」というメリットがあります。
印紙代をはじめとする、さまざまなコストが削減できるのも大きなメリットでしょう。
一方、「双方の同意が必要」「スマートフォンやパソコンが必要」といったデメリット・注意点も。
不動産会社にとっては社内の業務フローの再整備やセキュリティ対策も大きな課題となるでしょう。
注意点はあるものの、不動産売買契約の電子化は買主や売主にとって、そして不動産会社にとってもメリットが多く、今後ますます導入が進むと考えられます。
八城地建でも導入しておりますので、札幌市南区・北広島・恵庭で不動産の売却・購入を検討しているという方はぜひ一度お問い合わせください!