賃貸中の物件も売却可能!売却方法や流れ、注意点を知ろう
2022.12.10
こんにちは!不動産売買をサポートする八城地建の酒井です。
不動産投資の一環としてマンションの一室や一戸建てを保有している方の中には、売却を検討している方もいると思います。
しかし、その物件が賃貸中だった場合、どのように売却すればいいのか、そもそも売却は可能なのかと、不安に思う方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、賃貸中の物件を売却する方法や手続きの流れ、必要書類を解説!
できるだけ高く売却する方法もご紹介しますので、賃貸中の物件の売却を検討している方はぜひ参考にしてくださいね。
賃貸中の物件の売却は可能!その方法とは
「そもそも賃貸中の物件を売却することは可能なの?」と疑問を持つ方も多いですが、賃貸中であっても物件は売却できます。
これまでは、賃貸中の物件を売却・譲渡する場合、入居者に許可を取らなければいけない決まりでした。
しかし、2020年4月に改正された賃貸借契約に関する民法により、物件の売却や譲渡について、入居者に許諾を得る必要がなくなったのです。
つまり、マンションや一戸建ての保有者は、入居者の許諾を得なくても物件を売却することができます。
では、賃貸中の物件を売却する3つの方法「オーナーチェンジ」「立ち退き交渉」「入居者に売却する」について、詳しく見ていきましょう。
「オーナーチェンジ」で入居者がいる状態のまま売却する
「オーナーチェンジ」とは、入居者がいる状態のまま次のオーナーに物件を売却する方法で、オーナーチェンジによって売却された物件のことを「オーナーチェンジ物件」といいます。
オーナーチェンジのメリット
オーナーチェンジで物件を売却する売主・買主のメリットは、以下のとおりです。
【売主】
- 現状のまま売却が可能である。
- 家賃収入を得ながら売却活動ができる
- 入居者に交渉する手間や費用がかからない
【買主】
- 購入してすぐに家賃収入を得られる
- 入居者がいるため、先行投資のリフォーム費用が抑えられる
- 入居者について事前に把握できる
入居者が住んでいる状態のまま、物件の所有権や賃貸権を売主から買主に移転させる方法であるため、入居者側も「家賃の支払先が変わる」以外の変化はほとんどありません。
入居者がそのままなので、空いた部屋の原状回復費用や設備交換費用、立ち退き料などのコストもかかりません。
オーナーチェンジは売主・買主・入居者にとってメリットが多く、賃貸中の物件を売却する方法の中でもっとも一般的なものといえるでしょう。
オーナーチェンジのデメリット
一方、オーナーチェンジには以下のようなデメリットも存在します。
【売主】
- 売却価格が安くなる可能性がある
- 買主が不動産投資家を対象とするため、限定されてしまう
【買主】
- 購入前の内覧・内見が難しい
- 購入後に物件の瑕疵(かし)に気づく可能性がある
売主にとっては、売却価格が安くなってしまうのが大きなデメリットでしょう。
しかし、賃貸中の物件でも高く売れることはあります。
例えば、同じ入居者が更新を続けていて家賃が下がっていない物件は、高く売却できる可能性が高いでしょう。
高く売るためのポイントについては後ほど解説しますので、ぜひチェックしてくださいね。
「立ち退き交渉」をして空き家にしてから売却する
賃貸中の物件を売却する2つ目の方法は、入居者に「立ち退き交渉」を行い、入居者をゼロにしてから売却する方法です。
立ち退き交渉をして売却するメリット・デメリットを確認しましょう。
立ち退き交渉をして売却するメリット
立ち退き交渉を行うメリットは、売主・買主それぞれ以下のとおりです。
【売主】
- 空き家となった場合の売却であれば買主が見つかりやすい
- オーナーチェンジ物件よりも高い価格で売却できる可能性がある
【買主】
- 購入までに内覧・内見で物件の状態を把握できる
- 自由にリフォーム・建て替えができる
立ち退き交渉をしてから売却する方法は、物件が空き家となるため居住用として購入する買主を対象とした売却になります。
その分、買主が見つかりやすく、結果的に高額で売却できるというメリットがあります。
立ち退き交渉をして売却するデメリット
立ち退き交渉には、売主側に以下のようなデメリットがあります。
【売主】
- 立ち退き交渉の手間が発生する
- 弁護士への依頼するなど状況によっては費用が過大になったり、長期化する可能性がある
- 費用(立ち退き料)が発生する
一方、買主にデメリットがあるかというと、オーナーチェンジで売る場合は投資家が購入しますし、空き家であれば自らが居住目的として購入しますので、特段デメリットは発生しません。
ただし、立ち退き交渉を行う場合、入居者に対して売主は立ち退き料金を支払わなければなりません。
立退き料は、状況によって費用が変わってきますので、詳細は不動産会社や弁護士に相談されることをおすすめします。
また、立ち退き交渉ができるのは、「建物の老朽化が進んでいてリフォームせざるを得ない」「家賃を滞納していてオーナーに迷惑がかかっている」などの正当事由ある場合のみです。
立ち退き交渉が成立するのは稀で、入居者側の意向が優先されるケースが多いため、実際には難しいと言えるでしょう。
入居者に売却する
賃貸中の物件は、投資家だけでなく、入居者に売却することも可能です。
入居者に売却した場合のメリット・デメリットをそれぞれ解説します。
入居者に売却するメリット
入居者にマンションや一戸建てを売却するメリットは、以下のものが挙げられるでしょう。
【売主】
- 買主を探す手間・費用がかからない
- 現状のままで、売却ができる
【買主】
- 現在入居している家にそのまま住み続けることができる
- 家賃を一生支払うよりも購入した方が資産形成できる
売主にとっては、もっともコストがかからない方法といえるでしょう。
入居者に売却するデメリット
入居者に物件を売るデメリットは、売主・買主ともにマッチングが難しいことです。
売主がいくら売りたくても入居者が購入を考えていない場合や、そもそも住宅ローンも組めない事情がある場合には売買契約は結べません。
この方法が成功するには、入居者次第というところがあります。
賃貸中の物件を売却する流れや注意点、必要書類も確認
賃貸中の物件を売却する流れは、以下のとおりです。
- 入居者に対し、退去や物件購入の意思があるかどうかを確認する
- 不動産会社に査定を依頼する
- 不動産会社と媒介契約を結ぶ
- 買主が決まったら売買契約を結び、所有権移転登記を行う
- (オーナーチェンジの場合)入居者へオーナー変更の通知を行う
それぞれの説明とともに、注意点もお伝えします。
あわせて売却時の必要書類についてもご紹介しますので、参考にしてくださいね。
1.入居者に対し物件購入の意思があるか、または退去予定があるかを確認する
入居者に対し物件購入の意思があるかどうか、なければ退去可能かを確認します。
ただしオーナーチェンジの方法で売却する場合は、そのまま不動産会社に問合せをし、商談を進めます。
入居者の退去に関する意思確認は、賃貸借契約期間満了の1年前から6ヶ月前までに行わなければならないため、注意しましょう。
入居者に購入の意志がある場合はそのまま売買契約締結に進み、購入や退去の意思がなく立退き交渉を行いたい場合は立退き交渉を進めます。
2.不動産会社に査定を依頼する
オーナーチェンジを行う場合、または入居者が退去したら、不動産会社に物件の査定を依頼します。
不動産査定の流れについては「不動産査定はどんな方法で行う?価格の決まり方や流れ、注意点も確認!」でも解説していますので、参考にしてくださいね。
3.不動産会社と媒介契約を結んで売却活動を始める
依頼したい不動産会社が決まったら、媒介契約を結んで売却活動を始めます。
長年賃貸で貸していた場合には、賃借人退去後は室内の状態が劣化している可能性が高いですので、リフォームを行って売るか、オーダーリフォーム渡しで売るか、現状渡しとして売るかを決める必要があります。
現状渡しで売却したい場合には、買主から値引き交渉が行われることも考えられます。
予めそういった状況を見越しておいて、価格設定することが大切ですよ。
オーダーリフォーム渡しについては、「実際にあった売却事例」でもご紹介していますので、詳細はこちらもご覧ください。
4.買主が決まったら売買契約を結び、所有権移転登記を行う
買主と売却価格が決まったら、売買契約を結んで所有者移転登記を行います。
この際、敷金(関西では保証金とも呼ばれる)の返還義務に注意しましょう。
敷金の返還義務とは、「入居者が退去するときにオーナーから敷金を返還する義務がある」というものです。
オーナーチェンジをした場合は敷金の返還義務は新しいオーナーに引き継がれるため、売主(元のオーナー)から買主(新しいオーナー)へ敷金分の金額を支払う必要があります。
新しいオーナーは、入居者の退去時に敷金(保険金)を支払わなければなりません。
立ち退き交渉が成立して入居者の退去後に売る場合や、物件自体を入居者に売る場合は、元のオーナーが入居者に対して敷金を返還します。
また、所有権移転登記の後に入居者から家賃が振り込まれている場合についても、日割りの金額を買主へ渡す必要があります。
5.(オーナーチェンジの場合)入居者へオーナー変更の通知を行う
売買契約の締結や売却金額の支払い、物件の引き渡し、所有権移転登記が終わったら、物件の入居者に対してオーナーが変更した旨を通知します。
前述したとおりオーナー変更に関して入居者の許諾はいらないため、事後通知で問題ありません。
変更通知の際に用いられる「賃貸人の地位変更通知書」には、以下の項目を記載しましょう。
- オーナーが変更したこと
- オーナーが変更された日付(所有権移転登記を行った日)
- 賃貸借契約が内容はそのままに元のオーナー→新しいオーナーに引き継がれたこと
- 敷金(保証金)の返還義務が元のオーナー→新しいオーナーに引き継がれたこと
- 家賃の振込先が変更になったことと新しい振込先
- 元のオーナーと新しいオーナーそれぞれの名前・住所・連絡先
また、通知を行う際には、入居者から同意書をもらっておくと良いでしょう。
後々のトラブル回避につながりますよ。
賃貸中の物件を売却するのに必要な書類
賃貸中の物件を売却する際には、以下の書類が必要になります。
- 入居者とオーナーの間で結んだ賃貸借契約書
- 管理会社とオーナーの間で結んだ管理委託契約書
- リフォーム・修繕の履歴が分かる書類
不動産会社と媒介契約を結ぶ際に用意しておいてくださいね。
賃貸中の物件を高く売却するコツ
賃貸中の物件は空き家と比べて売却価格が低くなりがちとはいえ、売却する以上できるだけ高く売りたいと思うもの。
賃貸中の物件を高く売却するコツもご紹介しますので、参考にしてくださいね。
まずは、媒介契約を結ぶ不動産会社を慎重に選ぶことが重要です。
前述したとおり、査定の依頼は、複数の不動産会社に依頼して比較するのが良いでしょう。
ただし、査定金額だけで不動産会社を選ぶのはおすすめしません。
実績や不動産会社の得意不得意、サポート体制などをチェックし、総合的に判断するのがおすすめですよ。
また、買主に対して物件の売却理由をきちんと説明することも大切です。
「物件に魅力・価値がないから手放したいのでは?」と思われないよう、適切な理由を説明できるように準備しておきましょう。
賃貸中の物件を売却する方法を事前に把握してスムーズな売却を
不動産投資用として保有しているマンションや一軒家は、賃貸中でも売却できます。
売却方法は「オーナーチェンジ」「立ち退き交渉」「入居者に売却する」の3つの方法がありますが、一般的にはオーナーチェンジによって売買契約が交わされることがほとんど。
特に、立ち退き交渉は正当事由がないと認められないケースもあるため難しいでしょう。
賃貸中の物件を売却したいと思ったら、入居者への売却や退去後の売却を視野に入れている場合は、入居者に退去や購入の意思があるかどうかを確認してみましょう。
その後、必要書類を用意して、不動産会社と媒介契約を結びます。
買主が決まったら売買契約の締結や売却金額の支払い、物件の引き渡し、所有権移転登記を行いましょう。
オーナーチェンジの場合は、物件の入居者に対するオーナーの変更通知も忘れないでくださいね。
不動産売却は専門的な知識も必要になるため、不安がある場合は、豊富な知識や経験を持つ不動産会社に相談するのがおすすめですよ。
八城建設では、札幌市南区・北広島・恵庭の不動産売却の不動産売却のサポートをしております。
納得のいく不動産売却をお手伝いいたしますので、ぜひ一度お問い合わせくださいね。