住宅ローンを滞納した場合の売買方法は?競売と任意売却の違いも解説
2023.03.05
こんにちは!不動産売買をサポートする八城地建の岩瀬です。
家を購入するときに、ほとんどの方が利用する住宅ローンですが、返済期間中に収入状況が変わることで支払いが難しくなることがあるかもしれません。
住宅ローンを滞納してしまうと、最終的には競売にかけられることとなり、社会的にも金銭的にもとても不利な状況になります。
「競売になる前に売却する方法はないのか?」「支払いできなくなったらどうなるのか」「支払いが難しいと感じたらどうすれば良いのか」など不安な点も多いですよね。
今回は、住宅ローン滞納時の家の売却方法に加えて、任意売却との違いも解説しますので、ぜひ参考にしてください。
住宅ローンの返済を滞納したらいつ競売に?
競売とは、裁判所が強制的に家を売却することで、債権者の救済のために行われる措置です。
住宅ローンを組む際、金融機関は抵当権という担保を不動産に設定し、返済ができなくなった場合に、この抵当権をもとに裁判所に競売を申し立てることができます。
住宅ローンの支払いが滞った場合に、金融機関が不動産をオークション形式で売却し、その売却代金をローン残額に充てるという仕組みです。
抵当権については「抵当権の付いた不動産は売却可能?家の抵当権を抹消する方法もご紹介」も参考にしてください。
競売になると、強制的に自宅から退居する必要がありますし、売却金額も市場価格よりも安い価格になることがほとんどです。
こういった事情から、競売にかけられる前に売却できるのが理想ではありますが、家はすぐに売却できるわけではないという現実もあります。
そこでまずは、いつ競売になるのか、どのタイミングで延滞の情報が信用情報機関に登録されてしまうのか、競売を防ぐことはできるのか、という点について解説していきます。
競売になる・信用情報期間に登録されてしまうタイミングは?
実は、住宅ローンの返済が滞ってから、実際に競売にかけられるまでには時間があります。
まず返済を滞ってから1〜2ヶ月後に金融期間から督促状が届き、住宅ローンを滞納してから3ヶ月をすぎると、信用情報機関に「延滞」という情報が登録されてしまう可能性があります。
登録されるとその後のクレジットカードの利用が制限されたり、新規のローンが組めなくなったりします。
この時点で債権者から一括返済を請求されますが、一括返済ができない場合は保証会社に支払い義務が移り、その後も返済が難しければ競売の手続きが始まります。
そのため、金融機関からの督促状が来た後、競売の入札が始まるのは、滞納し始めてから10ヶ月〜1年程度かかるのが一般的です。
競売を防ぐには滞納2ヶ月目までには対応を
競売にならないためには、信用情報機関に登録される前、つまり滞納して2ヶ月目の段階であれば「一般売却」が可能です。
信用情報機関に登録されてしまうと、債権者から一括返済を求められ、その返済が難しい場合は競売へかけられてしまいます。
あとで詳しく解説しますが、一般売却であれば自分が希望する価格で売却できますので、売却したお金でローンを完済することも可能となるでしょう。
滞納して3ヶ月以降の段階で競売を避けたい場合は、保証会社に支払い義務が移る「代位弁済」の段階で支払いを可能にするか、それが無理なら債権者の合意のうえで「任意売却」を進めることになります。
信用情報機関に「延滞」の情報が登録されてから、裁判所のホームページに競売の情報が載るまでの期間(約1年間)であれば、任意売却が可能です。
ただし任意売却を進める場合でも、競売の手続きがストップするわけではありません。
そのため、競売を避けるには、競売の入札が始まるまでの間に売却するという時間との勝負になるのです。
滞納した場合の売却方法については、任意売却も含めて次で詳しく解説していきます。
住宅ローンを滞納した場合の売買方法は?競売と任意売却の違いも解説
住宅ローンの残額の支払いが難しい状況になったら、できるだけ早めに売却に向けて行動を起こすことが必要です。
売買方法はタイミングや条件によりますが、大きく分けて以下の3つの方法があります。
- 一般売却
- 任意売却
- リースバック
一般売却や任意売却が可能な期間についてはお話ししましたが、それぞれの詳細について、さらに詳しく解説しましょう。
一般売却
一般売却は、通常の不動産の売買方法と同じです。
自分が希望する価格で買い主を探すことができ、売却できれば信用情報に傷がつくこともなく、新しい生活をスタートできます。
住宅ローンを滞納した場合、お伝えしたように一般売却の方法を選べるのは、住宅ローンを滞納して2ヶ月目の、信用情報機関に「延滞」の情報が載る前までです。
しかし、不動産の売買契約は立地条件や建物の状態が非常に良い物件であっても、早くて2~3ヶ月程度はかかります。
半年以上かかることも多いため、返済できなくなってから動き出すのでは遅いといえます。
一般売却を希望するのであれば、返済が難しいと感じたらすぐに行動を起こすことが重要です。
住宅ローンが残っているうちに家を売却できるのか心配な方は「住宅ローンを返済中の家を売る方法を詳しく!完済の方法やオーバーローンの場合とは」も参考にしてくださいね。
任意売却
任意売却は、売却前に住宅ローンを完済することが難しく、一般売却ができないときに行われる売却方法です。
周囲にも知られず、競売より受け入れやすい手法と言えるでしょう。
競売で買受人が決定して物件の代金を納入してしまうと任意売却はできないため、競売の改札日までに行う必要があります。
そして、任意売却をするには「債権者の同意を得る」「共同名義人・連帯保証人の同意を得る」ことも必要です。
また、多額の税金を滞納して行政処分により自宅が差し押さえられた場合は、任意売却ができなくなってしまうことにも注意です。
その場合は「売却代金で滞納分の税金を支払える」と交渉すること、自治体や税務署が差し押さえの解除を認めることで任意売却ができる可能性があるため、経験豊富な不動産会社に相談しましょう。
任意売却と競売の違い
任意売却と競売の違いはなんとなく伝わっていると思いますが、さらに詳しく説明すると、以下のような違いがあります。
【売却価格】
競売と任意売却を比較すると、任意売却の方が市場売価に近い価格となります。
競売では、できるだけ早く債権を回収することが目的となりますので、市場価格より安く設定されることが多いです。
【プライバシー】
任意売却では、形式上は通常の不動産売買と同じになるため、周囲の方に事情を知られることはありません。
競売では新聞やネット上で情報が公開されるため、周りの方に事情を知られる可能性があります。
【引っ越し日】
任意売却では、購入者や債権者と協議のうえ、引っ越し日をある程度調整することができます。
競売では、所有権が移転した後は強制退去となるため、引っ越し日を選ぶことができません。
住宅ローンを滞納した場合の売買方法の流れや注意点は?
ご紹介した売買方法を、それぞれ行う際の流れや注意点もご紹介します。
一般売却の場合
一般売却は以下の流れで行います。
- 不動産会社の選定
- 価格査定
- 媒介契約の締結
- 売却活動
- 売買契約の締結
- 引き渡し・決済
一般売却のメリットは、売却価格を高く設定できることと、自分の裁量で動けること。
とはいえ、不動産会社の選び方によっては安く設定されてしまうことや売却に時間がかかってしまう可能性があることには注意が必要です。
なお、信用情報機関に「延滞」の情報が登録されるまでの時間を延ばす方法として、住宅ローンを組んでいる銀行に対して「条件変更」や「リスケジュール」を相談するというものがあります。
返済期間を延ばすことで月々の返済金額を減額する、という方法です。
月々の返済金額を減額することで滞納せずに支払うことができれば、一般売却できる期間が長くなります。
住宅ローンの返済が難しいと分かった時点で早めに相談し、減額期間中に家を売却できるよう取り組みましょう。
任意売却の場合
金融機関からの督促後、任意売却をする場合の流れは以下の通りです。
- 債権者の現状把握
- 不動産会社の選定
- 価格査定
- 債権者への確認及び任意売却の申し出
- 任意売却の開始
- 売買契約の締結
- 引き渡し・決済
- 残債の返済
任意売却の売買代金ではローンの完済ができない場合は、一括か分割で支払うことになり、無理のない範囲で返済をしていきます。
任意売却のメリットは競売より高い売却価格を付けられることとプライバシーが守られることですが、価格にしても購入者にしても事前に債権者の合意を得る必要があること、任意売却の期限を過ぎると競売になってしまう点は注意が必要です。
また、任意売却をするときには、販売期間としてどのくらいの期間、猶予してもらえるかは金融期間や保証会社によって異なります。
債権者との交渉については、個人でも行うことはできますが、実際には売却を担当する不動産仲介業者で行うことになりますので、業者選びの際には、任意売却に関するアドバイスなどを確認しておきましょう。
住宅ローンの滞納をしても売買は可能!なるべく早くに行動を
住宅ローンは滞納して3ヶ月ほど経つと、信用情報機関に「延滞」の情報が登録される可能性があるので、その前に「一般売却」で売却できることが理想です。
しかし、売却前に住宅ローンの残債を返済できない場合は一般売却ができません。
債権者から一括返済を求められ、その返済も行わない場合は競売の手続きが進みますが、実際に競売の入札が開始するまでに10ヶ月ほどありますので、その間であれば「任意売却」を行えます。
任意売却は競売と違い、売却価格が市場価格に近くなる、プライバシーが守られる、引っ越し日が調整できるといったメリットがあります。
競売は社会的ダメージも大きく、新しい生活の支障になることもありますので、住宅ローンの支払いが困難になったら、早めに家の売却にむけて動き出しましょう。
札幌市南区・北広島・恵庭で不動産の売却を検討している場合は、ぜひ八城地建にご相談ください。
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