不動産売買時に知っておくべき「重要事項説明書」とは?ポイントを確認!
2023.08.30
こんにちは!不動産売買をサポートする八城地建の酒井です。
不動産の売買時には、対象物件が適正な状態で取引条件が公正なのか、不安に思う方もいるのではないでしょうか。
そういった不安を取り除くために、不動産売買時には「重要事項説明書」を確認するタイミングがあります。
とはいえ「内容が難しそうだけど大丈夫だろうか」「売る場合に説明しなければならない事項とは?」「買う場合にチェックするポイントは?」など疑問も多いですよね。
そこで今回は「重要事項説明書」の趣旨とともに、内容について特に確認したいポイントについても解説します。
不動産売買時に重要な「重要事項説明書」とは?
「重要事項説明書」は売買契約書と並んで、不動産売買の際に確認が必要な重要書類です。
まずは「重要事項説明書」がどういうものなのか、何のために確認するのかという点を解説します。
「重要事項説明書」とは?
「重要事項説明書」は宅地建物取引業法の第35条1項に記載されていて、宅地建物取引業者に物件に関する重要事項を説明することを義務付けた規定です。
宅地建物取引業者、いわゆる不動産業者は、売買の際、契約が成立するまでの間に重要事項を記載した書面を交付しなければなりません。
その上で、宅地建物取引士の資格保有者が契約相手に説明する必要があります。
「重要事項説明書」には取引の際に、売主・買主が理解する必要のある事項が記載されています。
「重要事項説明書」の趣旨
「重要事項説明書」を規定した法律の趣旨は、不動産の売買を検討している方が、説明書の内容を確認することで、最終的な判断を行えるようにすることです。
不動産の取引は、物件の内容や権利関係、取引条件に至るまで、知識や経験の少ない一般の買主・売主が理解するには複雑であることがほとんどです。
例えば法令などで制限がある土地に、法令に沿わない建物を建ててしまえば、建築後に買主が損害を被る可能性もあります。
そういった事態を避けるために、宅地建物取引業法では専門的な知識や経験を持つ宅地建物取引士に説明義務を課しています。
売主・買主が説明書の内容を理解した上で、契約するかどうかを意思決定することができるよう、定めているのです。
「重要事項説明書」を説明する時期
「重要事項説明書」は売買契約が成立するまでの間に交付し、説明を行う必要があります。
最終的な意思決定ができるように説明することが目的であるため、売買契約の前の段階で行われることが多いです。
説明を受ける場所は、不動産業者の事務所であることが一般的ですが、日程や都合によって他の場所を希望することも可能です。
売買契約や重要事項説明の場所については「不動産の売買契約場所はどこ?クーリングオフと契約の流れも解説」でも詳しく解説しています。
不動産売買時に知っておくべき重要事項説明書の内容とポイント
それでは、ここからは重要事項説明書の具体的な内容について解説していきます。
まずは冒頭に契約者の名前が記載されているので、漢字などに間違いがないか確認しましょう。
また、重要事項の説明は「宅地建物取引士」の資格保有者が行わなければなりません。
説明の際には「宅地建物取引士証」を提示することが定められているので、説明を受ける前に、資格の証拠を確認しましょう。
「重要事項説明書」には「少なくとも14項に渡る事項を記載する必要がある」と規定されていますが、それは以下のように大きく3つの内容に分けられます。
- 取引物件に関する事項
- 取引条件に関する事項
- その他の事項
それぞれの内容を、詳しく見ていきましょう。
取引物件に関する事項
取引する物件に関する事項には、以下のようなものがあります。
- 登記簿に記載されている事項
- 政令で定めるものに関する事項
- 私道に関する負担に関する事項
- 飲用水・電気・ガスの供給や排水施設の整備状況
- マンションなどの場合は共有部分の規約や、敷地に関する権利など
- 既存の建物の場合は、建物状況調査の概要など
すべて重要な内容になりますが、その中でも特に注意したいポイントがいくつかあります。
まずは「政令に定めるものに関する事項」です。
これは都市計画法や建築基準法などに基づく制限のことで、住宅の建築や将来的なリフォームなどに大きく影響します。
次に「私道に関する負担に関する事項」は、敷地が私道に面している場合に、その位置や面積、権利や負担金の有無などが記載されています。
さらに「飲用水・電気・ガスの供給や排水施設の整備状況」に関しては、普段の生活に密接した内容になります。
上下水道が整備されていない場合など、設備導入などで負担が大きくなることも考えられますので、戸建て住宅の売買契約をする場合には、確認が必要な重要事項といえるでしょう。
また、中古住宅など既存の建物の売買をする際、過去1年以内に建築士による建物状況調査が行われたかどうかの記載や、行われていた場合はその結果の概要も記載されています。
この他にも不動産会社による物件調査が行われるので、さまざまな資料を基に物件の状態を確認するのが良いでしょう。
不動産会社が行う物件調査については「202308-01_不動産 物件調査(未公開)」でも解説していますので、参考にしてくださいね。
取引条件に関する事項
取引条件に関する事項には以下のようなものがあります。
- 代金や交換差金、借賃以外に授受される金銭に関する事項
- 契約の解除に関する事項
- 損害賠償額の予定または違約金に関する事項
- 手付金の保全措置に関する事項
- 支払金または預り金の保全措置に関する事項
- 金銭の貸借のあっせんに関する事項
- 担保責任の履行に関する事項
取引条件とは、主に支払う金額や契約条件に関する内容です。
金額については、物件そのものの代金の他に支払いが発生する部分もあるので、慎重に確認する必要があります。
また、固定資産税の精算額についての内容も含まれます。
固定資産税は日割りで計算をし、売り主と買い主の両方が負担することがほとんど。
具体的な金額が書かれているので確認をしましょう。
重要事項説明の時点で金額が確定していない場合は、目安となる金額が記載されています。
取引条件に関する事項で特に重要な確認ポイントは、「契約の解除に関する事項」と「損害賠償額の予定または違約金に関する事項」が含まれていることです。
契約の解除については「どのような場合に解除できるか」「必要な手続きは何か」「解除によって発生する効果」などの内容が言及されています。
どのような場合に契約解除となるか、という点については「不動産売買時の契約不適合責任とは?瑕疵担保責任との違いも確認!」でも解説していますので、ぜひ参考にしてください。
損害賠償額に関しては、損害賠償や違約金に関する定めがある場合はその額や内容を、定めがない場合はその旨を説明しなければならないことになっています。
その他の事項
宅地建物取引業法第35条で説明が必要とされている物件や条件に関する事項以外にも、買主の意思決定に影響すると考えられることは、重要事項説明の対象となります。
その内容には以下のような事項があります。
- 国土交通省令・内閣府令に関する事項
- 割賦販売や信託財産に関する事項
- 容認事項
例えば、対象の物件が土砂災害警戒地域内にある場合や、物件の周辺環境などで告知しておいた方が良いと考えられる場合などが対象となります。
また、水害ハザードマップにおける、対象物件の所在地も説明が必要です。
割賦販売については、引き渡しまでに全額払う場合の現金販売価格と、割賦販売をする場合の価格やその支払い時期、方法などの説明が記載されています。
最後は容認事項です。
容認事項は、宅地建物取引業法で定められているわけではありませんが、各事項の注意書きとして記載されることが多い内容です。
個々の内容から全体的な内容まで、各事項で説明しきれない内容が記載されているため、長くなることが多い部分といえます。
意思決定に必要と思われる多くのことが記載されているため、場合によっては、ここまでの内容よりも、暮らしに関わる重要な情報が書かれていることもあります。
全体的に時間のかかる説明ですので、集中が途切れてしまうこともあるかもしれませんが、最後まで確認するようにしましょう。
重要事項説明書とは不動産の売買契約書と並ぶ重要書類!
不動産売買の際、契約が成立するまでの間に宅地建物取引士が売り主・買い主に説明しなければならない重要書類が「重要事項説明書」です。
重要事項説明書は、売り主・買い主が内容の説明を受けた上で、最終的な意思決定ができるように、対象物件や取引条件の詳細情報が記載されています。
重要事項説明書が売買契約書に並ぶ、重要書類といわれる理由です。
重要事項説明書の内容は大きく分けて、物件に関する事項と取引条件に関する事項、その他の事項の3つになります。
物件に関する事項では、法令や周辺環境、インフラの整備状況などが、特に確認すべきポイントです。
取引条件に関する事項では、契約の解除や損害賠償、違約金についての事項が重要なポイントといえるでしょう。
細かい内容が多く、時間もかかる説明ですが、重要な内容が含まれていますので、最後までしっかり確認した上で、意思決定をしてくださいね。
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