重要事項調査報告書とは?マンション売買でのチェックポイントも解説
2023.09.20
こんにちは!不動産売買をサポートする八城地建の岩瀬です。
マンション取引の際に必要となる書類の中に「重要事項調査報告書」というものがあります。
「重要事項調査報告書」はマンション管理に関する事項が記載された重要な書類です。
とはいえ書類を手にしたときに、全部理解できるだろうか、と不安になることもあるのではないでしょうか。
そこで今回は重要事項調査報告書について内容や取得方法、特にチェックしたほうが良いポイントなどを分かりやすく解説します。
重要事項調査報告書とは?重要事項説明書との違い
重要事項調査報告書は、マンション売買のときに使用される書類です。
似たような名前の書類に「重要事項説明書」というものがありますが、内容が重複する部分もあるものの、この2つは全く別の意図を持って作成される書類です。
では、重要事項調査報告書とは何か? ということとあわせて、重要事項説明書との違いや、重要事項調査報告書の取得方法についても解説します。
重要事項調査報告書とは「マンション管理の説明書」
マンション売買の際に発行される「重要事項調査報告書」は、マンションの情報が詳細に記載された、いわば「マンション管理の説明書」ともいえる書類です。
マンションの管理体制、修繕などの状態、マンション全体の積立金の金額から滞納状況まで、マンションの管理に関する内容が記載されています。
マンション全体の管理体制に関する内容のため、将来的な物件の資産価値や建物の寿命にも関わる要素が記載されている重要な書類といえます。
管理規約だけではわからない情報や、マンション全体の状態を判断することができるため、トラブルを防ぐためにも事前に確認しておくことが大切です。
例えば売買しようとしている部屋だけ見ると問題が無さそうでも、マンション全体の情報を見ると、問題を抱えているケースもあります。
特に、中古マンションの購入を考えている方は、十分チェックしましょう。
重要事項説明書との違い
重要事項調査報告書とよく似た名前の書類に「重要事項説明書」というものがあります。
重要事項説明書は、売買契約をする前に必ず不動産会社が説明するよう、宅地建物取引業法で義務づけられている書類です。
重要事項説明書には、専門知識を持たない売主・買主がその説明を受けた上で最終的な判断ができるよう、対象となる不動産や売買契約に関する情報が記載されています。
重要事項調査報告書との大きな違いは、「重要事項説明書」には売買する物件についての詳細情報、そして売買契約に関する内容が記載されている点です。
重要事項説明書については「不動産売買時に知っておくべき「重要事項説明書」とは?ポイントを確認!」でも詳しく解説しています!
重要事項調査報告書の取得方法と費用
重要事項調査報告書はマンションの管理会社が発行する書類です。
一般的には、マンションの売買を仲介する不動産会社がマンションの管理会社に発行を依頼し、手数料を支払ってから、数日から1週間程度で発行されます。
発行に必要な手数料はマンションの管理会社が決めているため、会社によって金額が大きく異なります。
また、管理規定やパンフレット、調査内容の詳細などについては、発行するために別料金が設定されているところも多く見られます。
重要事項調査報告書の内容は?売買で注目するべきポイント
それではここからは重要事項調査報告書の大まかな内容はお伝えしましたが、実際に書かれている内容と、特に注目するべきポイントについても、詳しく見ていきましょう。
重要事項調査報告書の概要
「重要事項調査報告書」に記載されている内容の詳細は管理会社によってさまざまですが、主な内容は次のようなものになります。
- 管理会社とその管理形態についての詳細(管理人の勤務形態や時間など)
- マンションの管理組合とその活動(総会の時期など)
- 売買される住戸に関する管理費や積立金などの状況(引き落とし日や滞納の有無など)
- 管理費や修繕積立金の改定予定
- マンション全体の修繕積立金の残高
- マンションの借入金状況
- マンション全体の滞納状況
- 修繕工事に関する履歴や予定
- 専用使用権について(専用庭、バルコニー、駐車場、駐輪場など)
- 専有部分の用途制限について
- インターネットやBS、CSについて
- ペットの飼育や楽器の演奏について
- リフォームに関する内容
- アスベストの使用の調査結果の有無や耐震診断の有無
- 火災や雨漏り、心理的瑕疵やマンション内トラブル
そのほか、パンフレットや間取り図、建築確認書などが含まれることもあります。
【注目するべきポイント】金銭に関わる部分
重要事項調査報告書に記載されている内容で特に注目するべきポイントの1つ目は、金銭に関わる部分です。
具体的には、管理費や修繕積立金の改定予定やマンション全体の滞納状況についての項目があげられます。
修繕積立金の滞納額が多ければ、その分、毎月の積立金額が値上げになる可能性もあるなど、購入後のランニングコストにも関わる部分なので、しっかりと確認しましょう。
なお、管理費や修繕積立金の値上がりは管理組合の総会で決議されるため、基本的には急に上がることはありません。
値上げの計画があれば、重要事項調査報告書で確認可能です。
前の居住者が管理費などを滞納していた場合、滞納額は新しい所有者に引き継がれますので注意が必要です。
不動産会社が仲介に入っている場合は、精算した上で売り出すのでトラブルになるケースはほとんどありません。
しかし、個人での取引を検討している場合には、十分注意しましょう。
また、修繕工事の予定についても金銭に関わる重要な内容です。
大規模な修繕工事が行われる前には、マンションの借入金が多くなり、逆に工事後であれば修繕積立金の残高が少なくなります。
大規模修繕が長期間行われていない場合、修繕積立金の負担が大きくなる可能性もあります。
【注目するべきポイント】日常生活に関わる部分
金銭に関わる部分のほかにも、日常生活に関わる部分はチェックするべきポイントです。
重要事項調査報告書には、日常生活に大きく影響する内容として、専用使用権や専有部分の用途制限、またペットの飼育や楽器の演奏に関わることなどが記載されています。
専用使用権とは、共有部分の一部を特定の所有者が独占的に使用できる権利です。
一般的には、使用料を管理組合に支払って利用することが多く、マンションの敷地内にある駐車場や駐輪場をイメージするとわかりやすいでしょう。
また、専有部分の用途制限は、居住する部屋を店舗や事務所として使用できるかどうかを規定している部分です。
フリーランスで働かれている方が将来的に法人化を目指す際、居住する部屋を事務所にできないこともありますので、事前にチェックしておいたほうが良いポイントでしょう。
そのほか、生活に関わる内容としてはインターネット回線やBS、CSのアンテナの引き込み状況なども確認できます。
【注目するべきポイント】対象の物件に関わる部分
売買契約前に説明される重要事項説明書の内容と重複しますが、重要事項調査報告書では、アスベスト使用の調査結果の有無や耐震診断の有無が確認できます。
ただし、アスベスト使用の調査の内容については記載されていないことが多く、内容を知りたい場合は、別途、手数料を支払って取り寄せる必要があります。
また、火災や水害、漏水、その他マンション内のトラブルや事故など、購入の際に買主が知りたい、もしくは知っておいた方が良いと思われる内容も記載されています。
物件に関わる内容は不動産会社が代行する「物件調査」でも詳しく調べます。
物件調査については「不動産売買時に重要な「物件調査」の内容や流れを詳しく解説!」でも解説していますので、参考にしてくださいね。
重要事項調査報告書はマンション売買に必要な重要書類
マンション売買時に必要な「重要事項調査報告書」は、マンションの管理体制や修繕状況、管理費や積立金の残高や滞納問題まで記載されたマンション管理に関する重要書類です。
マンションの管理会社が発行していますが、取得する場合は、仲介している不動産会社を通じて行うのが一般的といえるでしょう。
「重要事項調査報告書」で特に注目するべきポイントをまとめると、金銭に関わる部分や日常生活に関わる部分、そして物件に関わる部分の3つです。
金銭に関わる部分は、購入後のランニングコストに影響する可能性がある部分です。
日常生活に関わる部分には、駐車場や駐輪場といった専用使用権に加え、ペットや楽器演奏など、趣味にも大きく関わってくる部分といえます。
このように、マンションで生活するには欠かせない事項が記載された「重要事項調査報告書」。
マンションを購入する場合には、ポイントを押さえて、確実にチェックするようにしてくださいね。
札幌市南区、北広島、恵庭で不動産の売却や購入を検討されている方は、八城地建までお気軽にご相談ください。
相談は無料で承っています。