相続放棄をするメリットデメリットは?放置するリスクも解説!
2023.10.15
こんにちは!不動産売買をサポートする八城地建の宮下です。
多くの方がいつかは経験することになる相続ですが、お金や不動産に関わることなど、どうすれば良いのか、不安に思うことも多いのではないでしょうか。
今回は、相続を放棄するか迷っている方へ「相続放棄」のメリット・デメリットを解説します。
相続に関して放置することのリスクもお伝えしますので、ぜひ参考にしてくださいね。
相続放棄をするメリット・デメリットは?
相続が発生したとき、相続人は相続を受け入れる「単純承認」のほかに、裁判所に申請し、認められれば「相続放棄」を選ぶことも可能です。
相続放棄は相続が発生してから3カ月以内に申述する必要があります。
相続放棄は、亡くなった方の財産全てを受け取らないという意思表示であると同時に、「始めから相続人ではなかった」という立場になります。
相続放棄は権利だけでなく義務もなくなるなど、メリットとデメリットがあります。
将来的な影響も大きいため、しっかりと理解した上で、慎重に判断するのが良いでしょう。
相続放棄のメリットとは?
相続放棄のメリットは、相続すべき「義務」を引き継がなくても良いことに加え、手続きに必要な心理的・金銭的な負担や手間・時間を取られずに済むことです。
具体的には次のような場合に相続放棄をすることが多いです。
- 負債の相続を回避したい場合
- 遺産分割の手間を回避したい場合
- 一人の相続人に承継したい場合
それぞれについて、もう少し詳しく解説します。
負債の相続を回避したい場合
相続放棄は、財産全ての相続をしないことです。
そのため、亡くなった方が多額の借金を残している場合などには、その負債を相続せずに済む、というメリットがあります。
遺産分割の手間を回避したい場合
相続人の人数が多い場合は特に、遺産分割が複雑になる可能性があります。
争いなどのトラブルには発展しない場合でも、手続きには時間と手間がかかるでしょう。
相続放棄をすると、遺産分割協議に参加する義務もなくなります。
相続に関する親族間のトラブルに巻き込まれずに済むという面もメリットといえるかもしれません。
一人の相続人に承継したい場合
代々続く家や事業継承などの場合は、法定相続人の人数にかかわらず代表者一人が継承することもあります。
その場合、代表者以外の相続人が相続放棄をすることになります。
決まりはありませんが、一般的には相続放棄をする代わりに、相続する人から「ハンコ代」という形で一定の金額を受け取れるケースが多いです。
相続放棄のデメリットとは?
一方で、相続放棄をするデメリットは、さまざまな「権利」がなくなるということです。
具体的には、次のような点で懸念がある場合に相続放棄をせず、相続を選ぶことが多いです。
- 資産全てを相続できない・先祖代々の資産が失われる
- 相続財産を占有している者には管理義務が残る
- 相続放棄は撤回できない
- 死亡保険金・死亡退職金の非課税枠が使えない
それぞれを解説していきましょう。
資産全てを相続できない・先祖代々の資産が失われる
相続放棄をした場合、相続しないのは負債だけでなく、資産も含めて一切の相続権がなくなります。
負債があっても、それを上回るプラスの資産がある場合などでは、資産も受け取る権利がなくなってしまうのはデメリットです。
相続人が複数いて、資産や不動産など財産ごとに分けて相続を希望する場合は、相続放棄ではなく遺産分割で協議します。
また、相続人の中で一人でも相続する人がいれば問題ありませんが、全員が相続放棄をした場合、亡くなった方の財産を相続する人がいなくなり、資産は国の財産に帰属します。
金銭だけでなく、不動産や土地といった先祖代々受け継がれてきた財産も失われる結果となるため、相続放棄の判断は慎重に行うほうが良いでしょう。
相続財産を占有している者には管理義務が残る
相続が発生した時点で、相続予定の家に住んでいるなど「現に占有している者」には、相続放棄をしても、その財産を管理・保存する義務があります。
相続しないにもかかわらず、管理・保存が必要であることは金銭的な負担にもなります。
相続放棄は撤回できない
相続放棄は原則として撤回できません。
相続放棄後に、多額の財産が見つかっても撤回できないということには注意が必要です。
ただし、錯誤・詐欺・強迫によって相続放棄をしてしまった場合には、例外的に申請を取り消すことができます。
死亡保険金・死亡退職金の非課税枠が使えない
死亡保険金、死亡退職金は受取人固有の権利のため、相続放棄をしても受け取りは可能です。
ただし、死亡保険金や死亡退職金は相続人に対して「500万円×法定相続人の数」という相続税の非課税枠がありますが、相続放棄をした場合、この非課税枠を利用できません。
相続登記を放置するリスクも確認!
相続予定の財産の中に、立地や環境などが原因で相続後の活用が難しい土地などがある場合、相続放棄を検討するケースも多いのではないでしょうか。
相続した場合には、原則的に不動産の所有者を明確にする「相続登記」が必要です。
これまで任意であった相続登記でしたが、2024年4月1日から義務化されることになりました。
これにより、相続したものの登記をせず放置されている土地などがある場合、そのまま放置すると罰則が科されることになります。
つまり、相続予定の財産の中に不動産があった場合、その後の活用や手続きなどの対応を考えて、相続するのか放棄するのかの判断を早めに行うことが必要となるのです。
また、そのほかにも正式に相続することを放置するリスクがあります。
さらに詳しく確認していきましょう。
2024年相続登記義務化!放置するとどうなる?
これまで相続登記が任意だった結果、相続登記されないまま、所有者不明となっている土地が増えて大きな社会問題となっており、この問題を解決するために2024年4月1日より相続登記が義務化されることが決まりました。
相続登記の義務化が開始したら、相続人は不動産の相続が開始したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をする必要があります。
正当な理由なく相続登記をしないまま放置すると、10万円以下の罰金が課されます。
なお、2024年4月1日以前に相続した不動産であっても、相続登記がされていないものは義務化の対象となることにも注意です。
3年間の猶予期間はありますが、早めに登記申請をするほうが良いでしょう。
法改正以外にも?相続登記を先延ばしするリスク
法改正で相続登記の放置には罰則が定められましたが、それ以外にも相続登記を先延ばしすることにはリスクがあります。
先延ばしすることによるリスクは、主に次のようなことです。
- 相続人が増えていく
- 相続人が高齢になる
- 相続人が所在不明になる可能性がある
- 公的書類には保管期限がある
それぞれ説明していきましょう。
相続人が増えていく
相続登記を先延ばししている間に、何世代にも渡って新たに相続が発生すると、相続人の数が増えていくことが考えられます。
不動産の相続登記をする場合、相続人全員で遺産分割協議をする必要がありますが、相続人の数が増えるほど、話し合いが困難になっていくでしょう。
相続人が高齢になる
高齢の相続人が認知症などで判断能力に問題がある場合、遺産分割協議には参加できないため、成年後見人の選任の申し立てが必要です。
成年後見人の選任に時間がかかる上、選任されてからも手続きの度に、裁判所に書類を提出するなど非常に手間がかかります。
相続人が所在不明になる可能性がある
相続登記を先延ばしし、相続人が増えていくと、次第に連絡先が分からない相続人が出てくる可能性があります。
相続人の連絡先が分からなくなった場合、さまざまな手段で連絡先を調べた上で、それでも分からない場合は「不在者財産管理人」の選任が必要です。
公的書類には保管期限がある
相続登記に必要な公的書類には保管期限があります。
引っ越したり、結婚で戸籍が変わったりすることもある中で、時間がたてばたつほど必要な公的書類が取得できない可能性も高くなるでしょう。
こういったリスクがあるため、できるだけ早くに相続登記もしくは相続放棄を行いましょう。
相続した不動産を売却した場合に必要となる確定申告については「不動産相続時に確定申告が必要・不要な場合とは?期限や方法もご紹介」で詳しく解説していますので、あわせて参考にしてくださいね。
相続放棄の手続き方法もチェック
ここからは、相続放棄のための手続き方法について解説します。
相続放棄は家庭裁判所への申述手続きによって行い、一般的には以下の流れで進行します。
①裁判所へ申述
②書面照会、参与員の聴き取り、審問の3つの方法で審理
③裁判官による審判(判断)
④書面による結果の報告
申述から結果の報告までの期間は、一般的に1カ月程度が目安となります。
受理されなかった場合、2週間以内であれば不服申し立てが可能です。
また、申述の要件を一覧にまとめると以下の通りです。
※2023年10月現在
さらに申述には申立書や、被相続人・相続人の戸籍謄本などの書類が必要となります。
裁判所のホームページに申立書の書式や記入例もありますので、専門家でなくても、書類を作成して申述を行うことは可能です。
ただし、被相続人と離れて暮らしている場合などは、登記に必要な書類を揃えるのが大変な上、相続発生から3カ月以内に裁判所に出向くのが難しい場合もあるでしょう。
相続人が自分で手続きを行うことが難しかったり、不安があったりする場合は、司法書士など専門家に依頼するのが確実で安心な方法です。
相続放棄はメリットとデメリットを考えて慎重に判断を!
活用に悩む不動産を相続する予定がある場合、相続放棄を検討する方もいるかもしれません。
相続放棄すると借金などの負債を相続する義務がなくなる一方で、資産や不動産を含む、財産全てを相続する権利もなくなります。
金銭面や手間など、負担が大きい義務を手放せるメリットと、資産や不動産などの権利を失うデメリットの両方を、慎重に判断する必要があるでしょう。
一方、相続をする場合、2024年4月から不動産の相続登記が義務化されます。
相続があることを知ってから3年以内に相続登記をしなかった場合には罰則があることに加え、世代を渡って放置するほど、相続登記が難しい状況になっていきます。
相続登記や相続放棄は早めに判断をしましょう。
手続きに不安がある場合は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
いずれにしても、不動産などの相続予定がある場合、まずはその不動産の活用方法を知ることが重要でしょう。
札幌市南区、北広島、恵庭に不動産の活用や売却を検討している方は、ぜひ八城地建にご相談ください。
ご相談は無料で承っていますので、お気軽にご連絡ください。